"monster_hunter_world.vdata"
{
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_1000_RadiantCreeps_LocFieldNotes" "蛮族のフルグに初めて会ったのは、森の中の開けた場所だった。彼は岩に腰かけて、刃創に包帯を巻いているところだった。かなりひどい傷だった。彼の横にはクリーチャーの死骸がいくつか転がっていた。木材でできたような体だったが、あれは戦闘後にフルグが切り倒した木だったのかもしれない。
私が名を名乗ると、フルグはヒーローになりたいのだと語った。最初の功績を書き記してもいい、戦闘直後のこの光景を書き出しにしたらどうだ、とも。
「ヒーローになりたいなら、こいつらはちょうどいい練習台なんだ」と言いながら、フルグは唸る。「ちゃんとしたヒーローなら、こいつらに対峙するときでさえ剣を磨くものだ」
「ここからが最高なんだぜ」そう言うと彼はかがみ込み、倒したクリーチャーの死骸からコインを拾った。
獲物を切り刻み、金銭まで奪うなんてヒーローらしくないのでは、と私は指摘した。フルグは顎をかき、眉をひそめる。
「ヒーローならみんなやってることだ」そう言いながら、彼の顔は自分の言葉に納得していないようにも見えた。「みんながやってるなら、間違ってはいないだろ?」
言い終えると、フルグはもう一度唸り、大きな斧を拾い上げて大股で森の中へ入っていった。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_1000_RadiantCreeps_LocNonHeroName" "ラディアントクリープ"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_1001_DireCreeps_LocFieldNotes" "今、ハウプシュタットの小さな酒場「イノシシ亭」にいる。そこへ蛮族のフルグが勢いよく近づいてきた。彼は骨でできた仮面をかぶった頭を抱えている。
「こいつで入店を許可してくれるか?」店員にそう訊ねるフルグの声には怒りがにじんでいる。「どの酒場も、もっと上等な首級を見せろとうるさくてな」
店員は彼を警戒しつつも、店に入って好きな場所に座るといい、と言った。フルグはエールを注文すると、それを手に小さなテーブルにどすんと腰かける。彼ともう一度話すチャンスだ。
「おお、あんたか」とフルグ。「あんたの言葉は効いたよ。あの木のやつらを切り刻むのはやめた。あっちから仕掛けてこない限りはな」
「今狩ってんのはこいつらだ」
彼は誇らしげに笑むと、抱えていた骨の仮面を着けた頭を指さす。仮面も、胴体と切り離された断面も、どちらにも身の毛のよだつ思いがする。
「そうだ、こいつらもコインを持ってたよ」フルグは満足そうに笑った。
他のクリーチャーであっても、殺してその死骸をあさるなら、以前と大して違わない、と私は指摘した。
「なにかとイチャモンつけやがって!」フルグが怒鳴る。「放っておいてくれ。俺は飲む!」
もちろん言われたとおりにする。私の財布にあるコインを取るために、フルグが何をするか分かったものではない。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_1001_DireCreeps_LocNonHeroName" "ダイアクリープ"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_1002_Courier_LocFieldNotes" "ダズ・カードルはシャベルで糞を集めている。小さいが頑丈なロバたちの群れの中の1匹が落としたものだ。ここはカードルの管理するクーリエ繁殖場のひとつ。ロバたちは手入れの行き届いたこの場所で草を食んでいる。カードルは私が近寄ってきたのに気づくと、シャベルに寄りかかって眉をしかめた。
「クーリエが欲しいのかい?」彼は訊ねた。「私の客はたいてい、あんたより大きいがね」
彼の仕事について話を聞きたいだけだと説明すると、カードルは喜んで応じてくれた。ただし、一緒にシャベルを持って彼を手伝うことが条件だ。
「私のクーリエを買いたいという者は多いんだよ」糞をシャベルに載せながらカードルは誇らしげに笑う。「幸運なことに、クーリエは信じがたいほど繁殖する」
1日のうちに数回やってくる客もいる、と彼は言う。成功の秘訣は2つあるらしい。1つはクーリエを強く、健康に育てること。もう1つは、購入したクーリエで買い手が何をするのか、訊ねないこと。どちらも破ったことはないそうだ。
カードルはクーリエをなで、ポケットから取り出したおやつを与えた。大切に思っているのが伝わる。売られた後のクーリエがどうなるか、彼には言わないでおいた。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_1002_Courier_LocNonHeroName" "クーリエ"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_1003_Tormentor_LocFieldNotes" "「奇妙だろ?」巨大な箱のそばで、グレンは陽光に目を細めて言う。箱は鎖につながれているが、どういうわけか近くの尾根の上に浮いている。「この箱はある日突然現れたんだ。誰が置いたのかも、なぜ置いたのかも分からないけれど」
確かに奇妙な箱だ。空中に浮かび、光を放ち、その周囲には円状にもやがかかっている。グレンの村の農民たちは、箱の登場に困惑した。そして、恐れるようになった。恐怖によって農民は愚かなことをする。
「亭主のシェヴは――ああ、彼に魂の休息を――農家仲間と組んで、あの箱を壊そうとした」グレンはつづけた。「シェヴは役に立たないと分かっていたよ。でも、彼の仲間がなんとかしてくれないかと願っていたんだ」
なんとかならなかった。ピッチフォークも、石も、手斧も、彼らが何を投げても箱には傷一つつかなかった。それどころか、箱に与えられるはずだったダメージは彼ら自身に跳ね返り、致命傷を与えた。こうしてグレンは、畑の世話を一人ですることになった。その後、箱はどうなったのだろうか。
「危害を加えてこようとはしないんだよ」とグレン。「こちらから危害を加えない限りはね。それに、シェヴを葬ってくれたから、悪いことばかりではないね」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_1003_Tormentor_LocNonHeroName" "トーメンター"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_1004_Roshan_LocFieldNotes" "「ロシャン? ああ、あいつは殺れるさ」白髪交じりの戦士、バリオスは得意げだ。まだ肩についている方の腕で丸焼きのうさぎの串を回している。「言っておくが、簡単じゃない」
バリオスは紅五人衆の一員だった。あの古代クリーチャー討伐のためにクリムウォル市評議会が雇っていた、悪名高き傭兵集団だ。紅五人衆は破壊的な力をもって素早く攻撃をしかけたが、ロシャンの力が彼らを圧倒した。五人衆のうち、ロシャンの穴から逃げることができたのは二人だけ。一人は再起不能な怪我を負った。ロシャンはもちろん生きている。
悪賢いバリオスは、へとへとになりながらもクリムウォルに戻り、戦士、魔術師、ヒーローを集めてもっと大きな討伐隊を組んだ。約束された栄光、ロシャンの宝、クリムウォル公庫からの莫大な賞金を支えに、討伐隊の決意は固い。それでも、あらゆる呪文や武器を駆使しなければ、あの獣は倒せなかった。バリオスは利き手を失ったが、些細な損失だ。
「だがな、イモータル… つまり不死のロシャンって名前は伊達じゃなかった」バリオスは嘆息する。「俺たちがクリムウォルに戻る頃、あいつは再び現れたんだ。討伐隊なんかまるで最初から存在しなかったみたいにな」
「評議会から賞金は下りなかったよ」彼はそう言うと、たき火をつついた。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_1004_Roshan_LocNonHeroName" "ロシャン"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_100_Tusk_LocFieldNotes" "「おまえなどものの数ではないわ」タスクが声高に笑う。私がタスクの肩をはじめて叩いた時だった。「小さなエルフよ、おまえと戦う気はない。つまらないからな」
もしかすると私は愚かにも、彼が酒を飲んでいるところを邪魔してしまったのかもしれない。彼がいたのは霜の街コバルトの、混み合うビアホールだった。タスクはこちらを射るような目で見て、ガントレットを着けた拳を握ったり開いたりしていた。もう一方の手は、巨大なジョッキのそばに置かれている。
戦いたいわけではない、彼の偉業を書き記したいのだと説明すると、タスクはあたりに響き渡るほどの大声で笑った。
「どうしてわざわざ? 偉業ならすでに皆知っている」タスクはエールのおかわりを求めてテーブルを叩いた。「寒き地で最強の戦士だ。どんな場所でもそれは変わらない」
その言葉を聞きつけ、近くにいたトロールがげらげら笑いながら立ち上がり、タスクを見た。馬鹿な真似をしたものだ。タスクは言葉で反応するよりも素早く立ち上がった。同時にトロールに向けて拳を浴びせる。何かが割れる音が7回聞こえた。トロールの頭蓋骨一つから聞こえていい音ではない。騒々しかったビアホールは静まり返った。タスクは他の挑戦者がいないかと周囲を見回した。どんな挑戦者でもよかった。彼の表情からは、挑戦者を期待しているのか、渇望しているのかは分からなかった。いずれにせよ、名乗り出る者はいなかった。
「いい相手はいないな」失望したようにこぼすと、タスクは身を丸めて白い毛玉になり、寒風吹きすさぶビアホールの外へと飛び出した。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_100_Tusk_LocHeroName" "タスク"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_101_SkywrathMage_LocFieldNotes" "ドラゴナスを一言で説明するなら「荘厳」だろう――もう一言追加するなら、「くそまじめ」だ。
声をかけたとき、彼はガストリ・アイリーのいばらの巣を警備しているところだった。彼には返答を拒まれたが、通りがかった親切な人が7時間後に彼の勤務が終わることを教えてくれた。7時間後、その場に戻ると、彼はグラックルと呼ばれる飛べない大鳥に頬を緩めていた。
「飛べないものにも能力があり、敬意を受けるべきで、高貴だ」鼻を鳴らして言った彼の口は、うそに慣れていないように見えた。
スカイラスメイジのドラゴナスは、肩を張って行進しながら話をしてくれた。非番の時間などないかのようなそぶりだ。少なくとも、彼は余暇の時間に仕事のことしか話さない。
「女王の警護は、我々が望める最高の職だ」とドラゴナス。
「本当の女王だ」彼はそう強調した。「今やガストリ・アイリーを統べるのは正統な女王なのだ」その声はガストリ・アイリーの荘厳な大廊下に響き渡る。今度は、彼の言葉を信じられた。このときはじめて、彼の瞳には光が宿り、口角はわずかに上がっていた。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_101_SkywrathMage_LocHeroName" "スカイラスメイジ"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_102_Abaddon_LocFieldNotes" "アヴェルヌスの洗礼盤に近づいたことはなかった。近づいたことのある者は多くないだろう。中庭によくある水盤などではなく、要塞に守られた地面の割れ目なのだ。そこから吐き出される濃い霧は墨のように黒い。
霧を吸い込むように言われた。奇妙な力とビジョンが得られるという。彼らが言うには、アバドン卿はその霧を大量に吸い込んだ結果、人間というより霧に近い存在になったらしい。その謎を解き明かすには、霧のことを知らねばならない。問題は、洗礼盤を守る聖職者たちだ。彼らは洗礼盤に近寄らせてくれない。
そこで、次善の策を取ることにした。そこに入ったものに話を聞いたのだ。
ある掃除婦は、わずかなにおいをかいだだけで眠れなくなったという。自分の死を繰り返し夢に見るのだそうだ。騎士の一人は、その霧を“口にした”ことがある。今では、もっと味わいたいと要塞の門を殴り続けている。
どんなものなのだろう? 経験者の話によると、冷たくて… 意志を持っているらしい。誰かが自分の脳をくまなくあさり、きらきら光るものを残していったような。
アバドンに話を戻そう。彼が霧から得たものは… 彼と霧しか知りえない。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_102_Abaddon_LocHeroName" "アバドン"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_103_ElderTitan_LocFieldNotes" "太陽の照りつけるカオスウェイストの岩だらけの段丘地で、私は日陰を求めて突き出した岩の下に入り込み、驚くべき発見をした。壁画を見つけたのだ。そこから見える景色と同じくらいひび割れ、古びた顔料で描かれていた。
一目見て、描かれているのは創世神話だと思った。一番古そうな絵では、巨大な何者かが大勢で山を作り、海に水を注いでいた。まるで世界全体が粘土でできているかのようだった。
それから、ひときわ大きな体をした者が、世界を打ち砕いた。意図的にではない――事故だ。その後、何人もの手によって描かれた何枚もの絵には、彼がどこからか世界のかけらを拾い上げ、苦心してそれをはぎ合わせようとしている場面が描かれていた。一方、 端では小さな体の何かが動き回っている。絵描きたち自身かもしれない。壁画のひとつを指でなぞってみた。段丘が震えた。おそらく偶然だろう。
そして、理解した。描かれているのは創世神話ではない。警告だ。描いたのが誰であれ、彼らに何があったのであれ、彼らのメッセージは数千年を越えて残ったのだ。絵はこう告げている。「危険:工事区域」 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_103_ElderTitan_LocHeroName" "エルダータイタン"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_104_LegionCommander_LocFieldNotes" "ストーンホールの荘厳な宮廷は街を覆うようにそびえ立っている。数年前、深淵の軍勢に襲撃された箇所は、精密な石細工による修復が施されており新しく見える。新しいのはそれだけではない。頑丈な鉄柵が城を囲んでいる。
ガラニウス帝は忙しい(“物書きと話すような身分ではない”という意味の宮廷語)が、城の執事がわずかに時間を取ってくれた。名をロラスという。
「あれから数年経ちましたが、街は今も復興の途上です」執事は物憂げだ。「しかし、トレスディンがいなければ、再建すべきものも、再建しようとする者もいなかったでしょう」
トレスディンはストーンホールの誇る青銅軍団を率いており、街を襲ったデーモンとの戦いにおいて中心的な役割を果たした。ひるむ軍団をよそに、彼女はデーモン軍の長に戦いを挑んだ。勝ち目はほぼないように思えたが、結局、トレスディンが勝った。
「統率者を失い、軍勢は深淵に戻っていったのです」ロラスが語る。
ロラスはさらに、トレスディンの戦いぶりについて付け加えた。敵と1対1で激しく戦い、やがて侵略者たち全員を押し返したのだという。彼のいた塔の高い場所からなら、よく見えたことだろう。
「彼女は街を破壊した者に復讐するため、今はここにいません。しかしストーンホールに再び防衛が必要になれば、帰ってくるでしょう」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_104_LegionCommander_LocHeroName" "レギオンコマンダー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_105_Techies_LocFieldNotes" "ルーランズを苦労して歩いていたとき、くぐもった爆発音が遠くに聞こえた。だんだん大きくなる爆発音と、砂に覆われた地面の焦げ跡や爆発による穴が、爆発の現場に私を導いた。テッキーズと呼ばれるキーン族を見つけるのに、案内人を雇う必要はなかった。良いことだ。私が雇った案内人は地雷を踏み、はるか遠くへ飛ばされてしまった。
やがて、私は彼らを見つけた。彼らはワイヤーを大きな木箱に付けているところだった。木箱の側面からは、何かの粉が漏れ出ている。
「やあ、ドカーンを見に来たのかい?」一番体の大きいヤツが甲高い声で言った。
「そうじゃないなら、よそを見ていた方がいい」葉巻をくわえたガリガリなヤツがぼやいた。
私はいくつかの質問に答えてくれたら、その後でぜひ爆発を見たいと説明した。
「質問に答えるのはこいつだ」錆びた金属の球を砂丘に向かって放り投げ、ガリガリが言った。球が爆発し、テッキーズは笑い転げる。
私は辛抱強く自分を抑え、彼らがエンシェントとの戦いに参加する理由を聞いた。
「エンシェントってナンだ?」体の大きいヤツが背負っている樽の中から声がした。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_105_Techies_LocHeroName" "テッキーズ"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_106_EmberSpirit_LocFieldNotes" "「おまえは戦士ではない」炎をまとう戦士、シンが言った。彼の声は低くて穏やかだ。
ためらいがちに、そうだと答えた。ウェイリング山地を何日もさまよってフレア要塞を探していたのは、戦士になりたいからではない。彼について知りたかったからだ。こう説明しても、エンバースピリットのシンが腹を立てることはなかった。幸運だ。
「知識の道を行くこともまた立派なことだ」彼はそう言いながら、私を彼の隣に招いた。「心を育んでくれる」
私は彼に近づきすぎないようにした。悪意は感じられなかったが、彼はかなりの熱を放っていたからだ。
ヒトの体で、シンは戦士および詩人として何を学んだかを語った。知恵と力を通して、彼はガーディアンフレイムの契約と呼ばれる謎の武術を習得した。それから、その武術を他の者たちに教えようとした。そのうわさが届いてはいけない相手に届くのに、そう時間はかからなかった。
「彼らは私の手に負えなかった。大勢が私を追った」シンは言った。
シンは殺された。しかし、彼の生前の行いに心を打たれたバーニング・セレスティアルが、彼にエンバースピリットという第二の生を与えた。シンは炎の知恵を説き続けた。彼の言葉はまるで炎そのものだ。掴むことはできないが、無視するのは賢明ではない。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_106_EmberSpirit_LocHeroName" "エンバースピリット"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_107_EarthSpirit_LocFieldNotes" "カオリンは緑に覆われた高地の絶壁に脚を組んで座っている。眼下には採掘しつくされた鋼玉の鉱山。子どものアークタイレックス・ストライダーのあごを優しくかいてやるその様は、カオリンの大きな体に似つかわしくない。けど、想像どおりだとも思える。
オレたちが話している間、カオリンは見えない力で小石を操り、ジグザグに動かしている。アークタイレックス・ストライダーがそれを追う。叫び出したくなるほどカワイイ。
カオリンはかつて、その功績により石像が作られるほど活躍した大将軍だった。だが、地中を流れる翡翠にも大地の精神が宿っていた。大地の精神はカオリンの像に流れ込み、彼は「アーススピリット」となったんだ。石の体をものとものしない意志を持っているってコトだな。
「私の知識はこの大地を作った原始の力から、海を走る海溝にまで達している」と彼は教えてくれた。
そんな彼がなんのために生きているかって? 「守られざる者を守るため。破壊の生を歩む者を破壊するため」だそうだ。
オレが立ち上がって伸びをすると、足元の絶壁が急に崩れた。オレは叫んだよ。考えつく限りのあらゆる神に祈った。その時、落下していたはずのオレの体が引き戻された。カオリンがつかんでくれたんだ。
「私たちはすべて土から生まれた。けれど、土に帰るのは今日ではない」あいつはそう言って笑う。
頭を下げて礼を言ったよ。絶壁にはもういたくなかったから、カオリンと話すのはそれで終わりにした。あいつも瞑想に戻れるだろう。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_107_EarthSpirit_LocHeroName" "アーススピリット"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_108_Underlord_LocFieldNotes" "再建が数年にわたっても、ストーンホールには深淵の軍勢により破壊されたままの地区がいくつもある。貧しい地区だけに、この状況は意外でもなんでもない。救世主と呼ばれたがるような、裕福な商人も野心的な貴族もいない地区なのだ。つらい思いをしている人たちほど、記憶が鮮明だ。俺はそう信じている。だから、ここへ来た。
住人たちは我先にと話をしてくれた。戦いで手足を失いながらも生き延びた兵士たちもいた。彼らは軽蔑を隠そうともせず、青銅軍団の傲慢さと、市民に家に留まるよう指示した軍団の愚かさについて語った。アンダーロードのヴログロスがまるで紙のように市街を囲む塀を切り裂いた時、軍団はあの指示が間違っていたと理解した。ヴログロスの体は装甲馬車よりも大きかった。
住人たちの話によると、ヴログロスは剣も矢も、バリスタの攻撃さえも難なくあしらったそうだ。打撃を与えても「大岩に鋼をこすりつけたような音」がしたと言う者もいた。
それからヴログロスはポータルを開いた。その場の全員が静まり返り、言葉を継ごうとする者はいなかった。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_108_Underlord_LocHeroName" "アンダーロード"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_109_Terrorblade_LocFieldNotes" "印とろうそくによって縛られた紫色のインプが五芒星の上を舞っている。がめつい妖術師に金を払って、1時間の約束で借りたんだ。妖術師は召喚呪文を唱えると、他の客の相手をしに行ってしまった。
オレはオズカヴォシュ語がうまくないが、どんな言語でも悪口はそれと分かるものだ。インプはついに、悪魔たちがテラーブレイドを心底怖がっている理由を話しだした。
高位の悪魔たちでさえも、単独ではテラーブレイドに立ち向かおうとしない。やつらは非道な同盟を組んでテラーブレイドを共に倒そうとした。怒れる衛兵たちの軍団を送り込んだが、戻ってきた者はいなかったらしい。
悪魔の生命を呑み込んで力を増したテラーブレイドは誰にも倒せなかった。ポータルでファウルフェルに飛ばすのが精一杯だった。地獄の中の地獄と呼ばれる監獄だ。だが、そんな場所もヤツを長く留めておくことはできなかった。
インプは鏡のかけらを取り出そうとしていた。テラーブレイドがファウルフェルをぶっ潰した後で、その跡地から拾ったものだという。けど、その時オレはくしゃみをしちまった。ろうそくは消え、インプも消えた(消えたんだと思いたいけど、“解放”した可能性もある)。とにかく、いなくなってよかった。あいつは、読みたくもない書類に署名をしろとうるさかった。もう少しで署名してしまうところだったよ。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_109_Terrorblade_LocHeroName" "テラーブレイド"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_10_Morphling_LocFieldNotes" "「市長がお会いになります」秘書が耳障りな声を出しながら、応接室の北側にあるオーク材の扉を指す。待ったかいがあった。
この小さな村、ローズニースは、モーフリングと呼ばれる謎の生物が最後に目撃された場所だ。過疎の村らしい。2人以上の住人を同時に見かけたことはない。
扉をくぐるとラベンダーの香りがする。市長は東側の扉から入ってくる。私たちは握手を交わした。彼女の手は湿っている。
「モーフリングについてあまり聞かないでください」市長の声はやけに低い。
謎の生物は数日前にやってきた。恐れた住民たちが生物を攻撃したが、生物は身を守ろうとするだけで、住民たちを傷つけようとはしなかったという。住民たちもそれを理解して、攻撃をやめたそうだ。
「いずれにしろ過去の話です」市長が言う。「では、仕事がありますのでこれで」
彼女は入ってきた扉から出ていく。扉の向こうに死体が見える。膨らんだ水浸しの死体が、数十体も。市長の顔がゆらめき、恐ろしいことに、その顔が私の顔になった。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_10_Morphling_LocHeroName" "モーフリング"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_110_Phoenix_LocFieldNotes" "フェニックスが来たことがあるという町を今までに3つ訪れたが、灰から蘇るものを見たことはない。だから話も聞けてない。足跡をたどってもフェニックスは見つからなかったが、灰はたくさん手に入ったよ。木製の梁から崩れた花崗岩まで、都市ひとつ作れそうなくらいだ。人間たちはどこに行ったかって? まあ、通りにある建物サイズの灰の山と山の間には、小さな灰の山がいくつもあったから、予想はつく。話を聞ける相手はいそうになかった。学問を頼るしかないようだ。
それで、ヴァイオレットアーカイブの地下19階に来ている。ここで回収屋が教えてくれたあの書類が見つけたんだ。表紙にフェニックスが刻み込まれた紙の束だ。濁ったダイアモンドのような石でできた重たくて分厚い箱に入っていた。側面にはすじ状の焦げ跡がついている。
最初のページには、あの燃える鳥に近づいても安全な距離と、鳥の炎を封じ込められる鉱物の種類と産地について書かれている。ほとんどのページは意味不明だ――走り書きされた記号や数字の横に「燃焼率」とか「白熱指数」などの文字と焼け焦げた跡がある。
文書が入っている箱は、溶けた後に固まった岩場のガラスのクレーターの中心にあった。奇跡的に無傷だったらしい。研究者たちは、近づいても安全な距離を見誤ったんだろう。でも、箱に関しちゃいい仕事をした。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_110_Phoenix_LocHeroName" "フェニックス"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_111_Oracle_LocFieldNotes" "幸運は勇者を好む、という。だが、シムリの顧問たちは究極の破壊のときを前にして思い知ることになる。幸運は幸運が選んだ者のものである、と。
オラクルのネリフはグレイブン王に仕える最後のオラクルだった。しかし、それまでのオラクルがしてきたように未来を予見するのではなく、未来を形作っているように見えた。新しい土地の征服に躍起になっていた最後のグレイブン王は、ネリフを秘密兵器だと信じていた。現実を意のままにねじ曲げられる者が手元にいれば、王は決して負けることはないのだ。
それはある日終わりを告げる。ネリフが勝利の予言を拒んだのだ。
「どちらにでも転びうる、と王に告げました」ネリフの声が頭の中でこだまする。
そして、その通りになった。両軍の兵士たちが死に、同時に生きた。戦闘は勝利と同時に敗北した。現実は二つに分割され、それは戦闘に参加した者たちの精神にまで及んだ。分割は一度で終わらなかった。二度、三度と続いた。
ネリフがこの状態を作り出したのだろうか。相反する現実を作り出して王を破壊し、自由になろうとしたのか? ネリフ自身には分からないらしい。
「私が見るのは過去ではない。未来です」彼はそう言った。
彼には私の未来がどう見えているのだろう… ネリフの主に起きたことを考えると、知りたいとは思えない。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_111_Oracle_LocHeroName" "オラクル"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_112_WinterWyvern_LocFieldNotes" "「ひとつだけを選ぶなんて不可能よ」そう言ったけれど、これは嘘だ。
アウロスに彼女の作品を読んだことあるかと尋ねられて、ある、と嘘をついた。そうしたら、どの詩が気に入ったかと尋ねられたのだ。
嘘を重ねなければならなかった。ウィンターワイバーンの気分を害して氷のブレスで殺されるためにアイスラックの不毛な凍土を旅してきたわけではない。(火元を見つけないと、ブレスがなくても凍死しそうだけど)
作品を読んだことがないのはレビューで酷評されているからだとも言えない。悲しいことに、アウロスの才は戦場でこそ活きる。彼女は別の場所でも活かせると願っているようだけれど。
「コラボして何か書きましょう」アウロスが興奮した様子で言う。「このあたりでライターに会うことなんて、ほとんどないもの」
アウロスの言葉は温かいけれど、その息で私は骨まで冷えている。震える体でもはっきりと分かるよう、首を激しく縦に振った。
アウロスは歯をむき出しにして笑う。彼女は広大な書庫いっぱいに翼を広げた。きしむような音が聞こえる。「うれしい」アウロスは片目をつむってみせると、巨大な窓に両足を載せて飛び立つ体勢になる。「乗って。インスピレーションを一緒に見つけに行きましょう」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_112_WinterWyvern_LocHeroName" "ウィンターワイバーン"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_113_ArcWarden_LocFieldNotes" "「我のきょうだいは彼らがもたらした絶望を知らない」私の隣に立つ悠久の存在が言った。
アーク・ウォーデンのゼットと私は、切り傷と焦げ跡のある石柱群のそばに立っている。石柱の間にある池には血と臓物が浮かび、かすかにではあるが光を放つ。
ゼットが損害を調べている。どこまでも己を律しているように思えるが、深い失望がその間を貫ている。
彼はかつて「ユニティ」と呼ばれる大きなものの一部だったのだと言った。宇宙が作られたとき、その大きなものは砕け散ってしまったのだ、とも。そのかけらのうちの二つがゼットの“きょうだい”、ダイアとラディアントだ。ダイアとラディアントは宇宙の所有権を巡って争っている。自分たちの望む世界を作るために。
「こんなことは許されるべきではない」ゼットは低い声で言う。「我は以前、きょうだいを捕まえた。我は今度もまたそうする」
彼が言うには、闘争を封じ込めることによってのみ、宇宙に再び調和をもたらすことができる。失敗したらどうなるのだろう。
「不調和が勝るはずはない」とゼット。「きょうだいのどちらも、勝ちはしない。すべては合一すべきであり、そうしなければ破壊されるだけだ」
ゼットが首尾よくユニティを再建できるよう、神々に祈ろう。隣にいる神はすでに、再建に着手しているようだけれど。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_113_ArcWarden_LocHeroName" "アークウォーデン"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_114_MonkeyKing_LocFieldNotes" "神々は無限の力を持っているが、その忍耐力は無限ではない。だが、孫悟空はそんなことを気にしない。モンキーキングにとって、混沌を作り出すことこそが報酬であり、それにより借りを返したのだ。
彼は神々への行き過ぎたいたずらによって500年の間、山の下に封じられていたという。その贖罪について聞きたいと思っていたのに、孫悟空はうわさ以上につかみどころのない相手だった。
孫悟空の姿が、背の高い木に葉を生い茂らせる枝々でそこに寝そべっているのがちらりと見えたと思ったら、草地でふざけ回っているのが目撃され、かと思うと群生する低木の合間にあっという間に消えてしまうという具合だ。分身でもいるの? それとも錯覚?
それに、いつも、どんな時でもいまいましい猿の群れが私をはやしたて、あざ笑い、ノートを持ち去り、ペンを持ち去ってしまう。本当に腹が立つ。少なくとも排泄物を投げられてはいないけれど、そういえば一度やられた。私が嫌がると分かっていてやったのだと思う。
正直、疲れた。ここに来てほんの数日だけれど、認めるしかない。私の負けだ。あのモンキーキングが本当に神をも怒らせたのだとしたら、私に何ができると思っていたのだろう?"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_114_MonkeyKing_LocHeroName" "モンキーキング"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_119_DarkWillow_LocFieldNotes" "ホワイトスパイアのレース場はあらゆる種類の放蕩者で半分が埋まっている。彼らはレースを走るクーリエに向かって、声援や罵声を投げかける。
最前列近くに、ダークウィローのミレスカ・サンブリーズを見つけた。涼やかな顔でレースを見ているが、その手には賭け札が握られている。私の視線に気づいたミレスカが手招きする。
「アンタみたいなヒトには危険な場所だよ」陽気だが棘のある声だ。「刺されないように気を付けな」
彼女と話すために来たのだと、私は口ごもりながら告げる。その時、小さなウィスプが飛んできてミレスカにコインを渡した。ミレスカはウィンクしてそれを受け取る。
「話すことなんてないけどねえ」とミレスカ。「アタシの両親は根暗なうすのろだった。故郷では口数が少ないほど良いとされててね――だから、一人で外の世界に出たんだ」
ウィスプがまたコインを持ってきた。
「この世界では、自分の楽しみは自分で作るものさ」ミレスカはふたたびウィンクしてみせる。
すると、ウィスプがコインの詰まった財布を持ってきた。見覚えのある財布だ。ベルトを確認すると、私の財布がなくなっていた。もう一度、ミレスカの方を向くと、彼女はもういなくなっていた。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_119_DarkWillow_LocHeroName" "ダークウィロー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_11_ShadowFiend_LocFieldNotes" "バソールト平原騎士団は、高潔な誇り高き集団だ。だが同時に、悲劇的なほど人手不足でもあると分かった。アンデッドとデーモンによる殺戮の原野での討伐をたゆまず続ける騎士たちは驚くほど少ない。
「お会いできて光栄だ」現場の指揮官であるエンダロールは、休耕地となっている平原を駆け、騎士団の野営地の端まで私に会いに来てくれた。「ここまでの旅は平穏で?」
おびただしいほどの社交辞令の後で、私はシャドウフィーンドのネヴァーモアについて尋ねる。彼は自信に満ちていた態度を崩したが、やがて我を取り戻した。
「二度と目にしたくないような戦いでした」とエンダロールは言う。「我々はあらゆる方向から攻撃を仕掛けたのです。それなのに、影のような奴の体はあらゆる攻撃をはねのけました」
味方は次々と倒れ、その魂をネヴァーモアは我が物としたのだとエンダロールは語った。百人の男が彼に立ち向かった。この野営地にいる十数人の騎士は、その時の生き残りだという。
「言い逃れはしない、と誓いを立てました」エンダロールはうなだれる。「あの忌まわしいできごとのために、我々は後退した。ネヴァーモアは今も我々の倒すべき敵です」
「二度と会いたくない敵でもあります」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_11_ShadowFiend_LocHeroName" "シャドウフィーンド"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_120_Pangolier_LocFieldNotes" "ホワイトスパイアにある雰囲気のいいパブにドンテ・パンリンが現れたとき、私はちょうど彼の偉業についてパブの常連客から話を聞いているところだった。
「オレについて聞き回ってる人がいるとか」ドンテはウィンクして帽子の縁に手を添えた。「うわさのその人がこんなに美しいお嬢さんだとは、誰も教えてくれなかったぞ。このドンテ・パンリンが何でもお役に立とう」
彼は深々とおじぎをすると、私の手を取り甲に口づけ、向かいの席に座った。テーブルにいた他の客たちは大げさじゃなくうっとりしている。
「巨人を倒したときのことを聞きたいのかな?」ドンテは自慢げだ。「それとも、ドラゴンを倒したとき? デーモンのこと? 暴君の件かな?」
彼は身振り手振りを交えて数々の冒険譚を披露した。王族を救出した話、村を守った話、モンスターを倒した話など、どのエピソードも詳細で、話すたびにもっと詳しくなっていった。いくつかはすでに聞いたことのある話で、ドンテ版は「途方もなく誇張された実話」と「完全な嘘」の間をさまよっていた。
パンゴリエのドンテ・パンリンには確かに大勢のファンがいる。けれど、一番のファンは彼自身なのだ。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_120_Pangolier_LocHeroName" "パンゴリエ"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_121_Grimstroke_LocFieldNotes" "アシュカヴォーの中心部にある生気のない寺院には、乾いた墨と古き罪で黒ずんだルーン石がある。その遺物は静かなる叫び声を上げている。「ここでよくないことが起こった」
実のところ、ここでは秘術が行われていた。ルーン石に魔法の墨で筆を入れて魂の絆を結び、昇天者になるための秘術だ。
伝統儀式であったそれを、グリムストロークは好機と見た。彼は墨を改良してその力を増幅させ、力を我が物としようとした。その過程に巻き込まれた者は、自業自得だった。
こうして彼は歴史を書き換える。さあ、自分を大きく見せるその殻を脱ぎ捨てるときだ。
より高みへと昇ろうとした彼は、禁じられた霊液を隅に混ぜた。悪手である―禁じられているのには理由があるのだから。アシュカヴォーのすべてを恐ろしい影の姿に変えて、彼は自分を守った。筆の一振りで、文明ひとつを帳消しにしたのだ。
基本的な事実はこんなところだ。彼は自らが描く世界の壮大な計画について、私が絶賛するのを待ち望んでいるだろう。絶賛などしない。彼のためにはすでに十分な量の墨が使われた。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_121_Grimstroke_LocHeroName" "グリムストローク"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_123_Hoodwink_LocFieldNotes" "トモカンの森の近くで会った案内人たちは口をそろえて忠告した。「フードウィンクを見つけようとするな」と。だからやめておいた。その代わりにフードウィンクがこっちを見つけるように仕向けたんだ。野営を張るとき、ラトルトラップから入手したわなを仕掛けた。こうすれば短慮な敵を足止めできるし、フードウィンクには間抜けを相手にしていると思わせられる。眠ったふりを始める前に、飛んできたドングリが頭上の樫の木の樹皮を裂いた。
フードウィンクは予想以上に小さかった。彼女のクロスボウはその体と同じくらいの大きさだ。それでも、クロスボウを構える彼女の姿は、訓練を受けた青銅軍団の面々よりも様になっていた。
「アタシの森にわななんて許さないよ」フードウィンクが鼻で笑う。
俺は努めて冷静にこんなことをした理由を明かし、話を聞かせてくれと頼んだ。彼女は喜んで応じてくれた。話してくれたのは、俺のかばんから盗んだ食料のこと、俺の腰袋から盗んだゴールドのこと、そして彼女が心変わりする前にトモカンの森を抜けるための道のことだ。それから、バラバラに解体したわなを返してくれた。予想以上だった。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_123_Hoodwink_LocHeroName" "フードウィンク"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_126_VoidSpirit_LocFieldNotes" "「現実は束の間のものだ」ヴォイドスピリットのイナイが言う。彼は話を聞きたいという私の要望に応えて、自宅まで来てくれたのだ。彼にとっては造作もないことだが、うれしい行動だ。
「それは別々にあるいは互いに畳まれ開かれる無限の現実の一つにすぎない」
彼とは何時間も話したが、私にとってもっとも意味を成したのはこの言葉だった。言い換えやもっとも明確な言葉で、と求めると、彼は真顔で私を見るだけ。
そんな会話からなんとか理解できたのは、彼が現実から現実へと旅をし、定められた過去から逸脱しないよう監視していることだ。彼自身についてはほとんど話してくれなかった。関心があるのは存在そのものだ。彼の言葉は偉大な思索家をも混乱させるに違いない(私はその数にも入らない)。「ふむ、ふむ」記録帳にでたらめを書きながら私が言えたのは、それだけだ。
長い独り言を終えて、彼は尋ねる。「理解できたかな?」
「理解した」と嘘をついた。しかつめらしい彼の顔が、疑うような表情に変わる。「では、私が何を話したか言ってみなさい」
記憶の中から何とか言葉を紡ぐ。「ええと… 確か、存在とはただの… 存在論的枠組みの… 反復的回帰で… 崩壊しつつある… その、認識上の? 認識上の背反? 矛盾? の下で…」
イナイは鼻を鳴らすと、ポータルを開いてそこに消えた。どこに行ったのか、想像すらつかない。
認識上の撞着だ。彼はそう言っていた。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_126_VoidSpirit_LocHeroName" "ヴォイドスピリット"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_128_Snapfire_LocFieldNotes" "「敵をぶっ飛ばすものを作る。簡単さ。おすわり、モーティマー」ベアトリクス・スナップファイアは言う。
私たちは今にも崩れ落ちそうな彼女の小屋にいる。ナナラクの焼けつくような砂漠の真ん中にある小屋だ。ここにあるのは半分壊れたような道具で作られた、奇妙な仕掛け。小屋の周囲には爆発で崩壊した小屋がいくつもあるのだから、言うほど“簡単”ではないのでは、と私は指摘する。
「少しばかりのセンスがあれば難しくないんだよ」とスナップファイアは付け加えた。「落ち着きなって、モーティマー。あんた、茶のおかわりは?」
スナップファイアの巨大なペットは私の顔を舐めるのをようやくやめる。淹れてもらったお茶はすこしピリッとする。それでもクッキーよりマシだ。クッキーは舌を刺すような辛さで食べられたものじゃない。
「このあたりの奴らはセンスがないんだ」スナップファイアが頭を振る。「その代わりにアタシとモーティマーがいる。モーティマー、おすわり!」
彼女はそう言うと、金属の長いパイプを錆びた金属片に溶接し始めた。金属片はスナップファイア自身よりも古いもののように見える。
「みんな忘れてるんだよ。火薬を入れるのはさ・い・ご」近くで爆発音が聞こえる。スナップファイアは舌打ちで応じた。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_128_Snapfire_LocHeroName" "スナップファイア"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_129_Mars_LocFieldNotes" "「かつての儂は恥知らずであった」マルスの声が轟く。軍神は風格のある黄金の玉座に座っている。「うぬぼれていたのだ。人間たちの怖がる顔を見るためだけに戦を起こし、彼らを槍で突き刺した」
このきらびやかな玉座の間が彼の謙虚さの表れなのだとしたら、以前の彼はうんざりするほど傲慢だったに違いない。壁という壁に巨大なタペストリーが掛けられている。どれもマルスが勝利を収めた重要な戦いを描いたもので、他のタペストリーの存在を圧倒しようとしている。数十体の彫像はいずれも勇ましく武器を振り下ろそうとする姿で、場所を奪い合っている。窮屈な隅の方では、彫像同士が戦っているようにも見える。
マルスは、衝動に駆られて戦に赴くようなことはなくなったと語る。人間たちの恐怖や、人間からの畏怖はもう必要ないのだ、と。そうであっても、世界に戦を広めていることには変わりない。
「戦は必要なものだ」軍神の声が広間に鳴り響く。「価値ある者を示してくれる」
彼の言によれば、古き神々は慢心し、弱体化したという。彼にとっての新しい概念、謙虚さと責任感をもって、マルスは鉄の拳によって目に映るものすべてを統治せんと決意した。
「以前、儂は神々の王であらねばと思っていた。なんといううぬぼれ、なんという愚かさ」マルスは首を振る。「今は、儂が神々の王であるべきだと思っている… 分別を得たからだ」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_129_Mars_LocHeroName" "マルス"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_12_PhantomLancer_LocFieldNotes" "アズレイスは穏やかな川の流れを眺めていた。槍を持つ手は戦いのさなかのように握りしめられている。ただ、ドレッドメーガス・ヴォーンとの戦いで見せた槍の腕前について語る気はないらしい。
あの容赦ない襲撃で生き残ったのは彼一人だということを考えると、責める気にはならない。俺の質問は「他の者たちの戦には興味がない。こちらに降りかかって来るまではな」の一言で片づけられた。
それからアズレイスは再び川の流れに視線を戻す。多くの魚が泳いでいた。食べられる魚はどれで、毒のある魚はどれか、捕まえやすいのはどれで、抵抗しようとするのはどれか。彼はそんなことを教えてくれたが、魚類学の講義を聞きに来たわけじゃない。ただ、話題を変えようとしても無駄だった。
だから穏やかな一日を楽しむことにした。しまいにはうとうととしてしまったが、アズレイスが手の槍で水面をつついているのに気づく。魚は怯えて向こう岸へ行ってしまった。彼は漁師としてシンプルに暮らすのは向いてないんじゃないだろうかと思い始めた頃… 彼の分身が対岸に現れた。食べるのに向いている、と彼が言っていた魚のうちの一つを、分身が槍で突き刺す。食べられるばかりかおいしい魚だった。たき火のそばで彼と夕食を共にしたんだ。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_12_PhantomLancer_LocHeroName" "ファントムランサー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_131_Ringmaster_LocFieldNotes" "鍛冶師を木偶の棒と呼ぶのは木偶に失礼だろう。だが、巨漢の鍛冶師はすすり泣きながら嗚咽をもらす。ジャンクでいっぱいのこの鍛冶場は、彼がリングマスターのためにパーツを作っている工房だ。
「はじめはきっぱりと断ったんだ。そしたら、忌々しい車輪のことを持ち出された。気づいたら、あいつに汚れた歯車を渡す羽目になってたよ。俺と息子はあいつの“ショー”のためにテントに連れ込まれてた」
彼は震える手で左足に巻かれた包帯を外す。観客参加型の出し物「剣かこん棒か」で負った怪我だ。だが、彼がいよいよ声を上げて泣き始めたのは、息子について語ったときだった。リングマスターはその子を消失マジックに使ったんだ。歯車がうまく動けば、“箱”から解放してやると彼は言う。
解放はできたんだろうな。扉をノックする音にあわせて、「パパ」と呼ぶ小さな声が聞こえた。鍛冶師は脚を引きずりながらも素早く扉を開ける。そこに立っていたのは、男の子というより、機械といった方が正しい代物だった。むき出しの歯車がうなり、ばねが飛び出し、小さな風音が聞こえる。鍛冶師自身の手仕事が、彼をさらに苦しめている。
「コリオストロにお前を見張るよう言われてる」機械の体がさえずるような声を出す。その頭は機械的な動きで横に滑った。
鍛冶師がうなだれる。俺もそうするしかなかった。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_131_Ringmaster_LocHeroName" "リングマスター"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_135_Dawnbreaker_LocFieldNotes" "「光へ向かって歩け」なんて言われたら、普段の俺なら呆れた顔をして、誰かほかのやつに尋ねようとするだろう。ポエム的なドラマチックさのない、もっと現実的な情報を持ってるやつに。だが、ドーンブレイカーのヴァローラのことなら、話は別だ。このセリフを言ったのは、銀夜の森のすぐそばにいた村人だった。
彼女はほんの数日前にあの暗い森に入った。遠くから見ていた者たちは、丸い光の球が木々の上に現れたと言う。
今回の旅では幸運なことに、この話は純真な村人たちがなんとか本に名を載せてもらおうと大げさに言ったものではなかった。暗い銀夜の森のおかげで、光の球を追うのは難しくなかった。それに、ヴァローラが森の木や石、敵を一緒くたに切り捨てる音もこだましている。
目が見えなくなる前に(幸い、1週間で治った)彼女の姿を一目見た。迫りくる闇を純粋な石の力で打ち砕く、生きた星のような人だった。
闇が多すぎるのはよくない。ある程度は排除すべきだというのは、誰もが同意するところだろう。だが、すべての闇を払ってしまったら? 常にまばゆい光だけしかなかったら? ほんの数秒、彼女のユートピアが見えた。俺の網膜はそれをユートピアとは呼ばないだろう。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_135_Dawnbreaker_LocHeroName" "ドーンブレイカー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_136_Marci_LocFieldNotes" "マーシーは口を割らないと聞いた。だからますます会いたくなった。だって、マーシーほどの評判でばかばかしい自慢話をしないのは、この世界じゃ珍しいことだろ。
運のいいことに、マーシーの知り合いたちがわずかなコインと引き換えに、彼女のことを話してくれた。俺たちが会ったのは銀夜の森だ。マーシーは主であるミラーナ王女の帰還を待ちながら、あたりをゆっくりと歩き、木々を見回る。知り合いたちが記憶を披露してくれた。誰もがストーリーを持っていた。全員が、直接見たことだと主張し、一人また一人と語るたびにストーリーは幻想的になっていった。いわく、マーシーは拳ひとつで野盗や軍隊、時には神まで倒したのだとか。
マーシーの謙虚な態度を考えれば、これらの話はすべてたわごとだろうと思っていた… マーシーが口笛を吹くまでは。振り返ると、マーシーが森の中に跳び込んでいくところだった。その場にいた彼女の知り合いたちに追う必要はないと言われ、マーシーが戻るのを待った。すぐに、マーシーは血まみれになって戻ってきた。脇には、傷一つないミラーナ王女を連れていた。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_136_Marci_LocHeroName" "マーシー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_137_PrimalBeast_LocFieldNotes" "プライマルビーストはほんの赤子にすぎないと言う人たちもいる。かつてアンデュジャールの漁村だった場所のがれきを調べると、たしかにかんしゃくを起こした子どもが付けたような痕がある。だがその荒廃っぷりからは、とても子どものものとは思えないような悪意が感じられる。
あらゆる建物が打ち壊されてがれきと化し、船着場はただの木切れになっている。船は粉砕されて海の藻屑だ。この暴挙には理由もいわれもないように見える。村人たちの姿は見えない。食われる前に逃げたのだといいが。
いずれにせよ、アンデュジャールはプライマルビーストが地図から消し去った村や町の一つとなった。その数は今も増えている。プライマルビーストが罠にかかり、神聖なモンスターを捕まえるための力を秘めた鎖「グレイプニル」に捕らえられたときには、一時、人々の間に安堵が広がった。だが、あの力の強い怒れる怪物を長く捕らえておくことはできなかった。鎖から解かれた獣は、今も地面を踏み鳴らしている。
破壊された村を調べながら、考えずにはいられない。プライマルビーストが赤子なら、その親がどうか現れないよう、神に祈らなければ。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_137_PrimalBeast_LocHeroName" "プライマルビースト"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_138_Muerta_LocFieldNotes" "荒れ果て日に焼けた宿屋の主人は眉をしかめた。砂を巻き上げる荒涼とした平原にぽつんと佇む建物の陰にあっても、そこは焼け付くように暑かった。
「彼女はスカームという古い町から来たんだ。昔、あのあたりにあった町さ」主人が指さして言う。「彼女、まだ若かったよ」
「あの頃、このあたりには野盗が多くてね。やっかいな連中だったよ。見える範囲の町は全部あいつらにやられたんじゃないかな。彼女はやつらに銃殺された。彼女の親族もね」
宿屋の主人がくすんだ色の液体をグラスにふたたび注いだ。喉が灼けそうだが、彼の舌はこの液体で滑らかになるようだ。彼がしゃべってくれるなら、私も我慢して飲もう。
「それから… いや、その後のことは誰も知らないんだ」主人は周囲をうかがうように見てから続けた。「彼女は死神を追い返したらしい。自分に銃を向けた者たちに復讐したがっていると聞いたよ」
彼は再び眉をしかめたが、それはもう暑さのせいではなかった。幽霊のように青白い顔をしている。
「野盗どもは無慈悲で残忍なやつらだがよ」かすれた小さな声だ。「やつらには同情するね」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_138_Muerta_LocHeroName" "ムエルタ"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_13_Puck_LocFieldNotes" "レヴテル南西部にあるフェイシェイドの森では、色彩豊かな大型の蝶がゆらめく枝の間を飛んでいる。蝶のダンスから目が離せないでいたとき、フェアリードラゴンのパックがどこからともなく現れ、私の右肩にとまった。
「オモシロいイキモノ」パックが言う。口に出した言葉を半分も理解できずにまねたような声だった。「アナタはナニ?」
私が答えるよりも先に、パックはクスクスと笑いながら、大きな朱色の蛾の方へ飛んでいってしまった。しばらくその様子を眺めていると、パックは視界から消え、私の左肩に現れた。
「ナニ、ってキいたんだよ」パックがふたたび尋ねる。声にわずかな棘がある。フェアリードラゴンは世界そのものよりも長く生きると言われている。そんなに長く生きるのに、忍耐力はないらしい。
「私はウッドエルフ」私はつっかえながらも答える。パックは三つ指の手を伸ばして、何かを調べるように私の顔に触れた。その指は当たった感触がしないほどやわらかく、野の花と硫黄のにおいがした。
「ウッドなのに、木でできているカンジしないね」パックが言う。冗談なのか、私が嘘をついたと責めているのか、その顔からは分からない。
パックがふたたび姿を消した。蝶たちが散開していなくなり、森は死んだように静かになった。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_13_Puck_LocHeroName" "パック"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_145_Kez_LocFieldNotes" "ねじれたクチバシ亭はガストリ・アイリーの雲間に店を構える上流向けの酒場だ。店は混んでいる。即位の日はいつもそうだが、今年はいつもと違っていた。
いつもなら上流階級の者たちが肩を触れ合うほど詰めかけているのに、今日は背の低い鳥人たちが紛れている。ある鳥人が粋なブルーをまとい私の向かいに座る人物の前にジョッキを滑らせ、彼の背中を叩いた。
「栄誉のためにやったわけじゃないが、認めるよ。こりゃいい特典だ」彼が言う。
ケズという名の彼は、「簒奪の女王」と呼ばれるインペリア女王を退けるために鋼と謀略を利用した。簡単なことではなかったが、彼――そして彼の翼なき兄弟たち――は長年にわたり受けられなかった敬意をついに得ることができた。それまで彼らは、誇り高きスカイラスの民から、劣った者たちとみなされていたのだ。
「助けてもらったんだ」とケズは認める。「助けがなけりゃ、無理だった。インペリアは王座を簡単に手放そうとはしなかったからな。多くの血が流れたよ」
このところ、ケズは正すべき間違いを探して国中をさまよっている。ガストリ・アイリーに戻るのは、街最大のお祭りのときだけだ。別の鳥人が彼にジョッキを手渡す。
「無料で飲めるのは悪くない特典だろ」そう言ってケズはニヤリと笑った。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_145_Kez_LocHeroName" "ケズ"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_14_Pudge_LocFieldNotes" "グッドカインドは俺がパッジを担当できるのはいいことのような顔をしていたが、彼女の魂胆は分かってる。読者が血に飢えたパッジの物語を読みたいかどうかなんて、どうでもいいだろ。パッジの肉鉤や、そもそもあの臭い体に近寄らなきゃならないのは読者じゃないんだから。泥や内臓、元は何か考えたくもないヘドロをかき分けて会いに行くのは俺なんだぞ?
だが、クォイッジの外の安全な場所からパッジを見ていると、彼は思った以上に深みのある人物だと分かった。あいつは確かに不快極まりない。けれど、あの汚さに目をつむれば、パッジの肉処理の技が見えてくる。
パッジはなんでも食べるが、特に好むのはまだ叫び声をあげているやつだ。彼はなるべく獲物を生かしながら、体の部位を一つずつ切り離す。はがれた肉片が肉鉤に刺さっていた。
あの肉片は後で食べるのだろうか、それともただの飾りなのだろうか。近寄って確かめようという気にはならなかった。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_14_Pudge_LocHeroName" "パッジ"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_14_Pudge_LocPersonaFieldNotes" "そこに到着したとき、ウィーピングローズの葬儀屋はまだ死体を縫い合わせているところだった。著名な一家の全員が、がれきと化した馬車の中で死んでいた。はじめは、あの飲んだくれ民兵の話を聞き入れた自分に苛立った。こういった事故はもちろん悲劇的ではあるが、珍しいことかと言われれば疑問だ。
疑問が顔に出ていたのか、葬儀屋が手招きしてきた。近づくと、大理石でできた簡易寝台のような作業台に、一家の死体が並べられている。それを見て、この事故の何が珍しいのかが分かった。骨が折れていたり深い傷を負っていたりするのは当然だが、死体の表面には他にも小さな肉片や穴が無数に散らばっていたのだ。肉から糸が飛び出しているものもある。指はちぎれ、眼球はあるべきはずの穴から引き出されていた。皮膚はその下の肉とともにはがれている箇所がいくつも。
生き残った御者は、休憩地点で道端に落ちているぬいぐるみにわめきちらしているところを見つけられ、精神病院送りになった。醜いぬいぐるみだった。子どもたちのお気に入りだったのだろう。一家に安らかな眠りを。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_15_Razor_LocFieldNotes" "死んだ者の魂は狭き迷宮に向かうという。そこで死後の運命が決まるのだ。生きている人間に正しい行いを促すためのおとぎ話のように聞こえるが、私の隣を歩くぼろを着た男は真実だと熱弁する。ヘリオ・インペリウムの込み合うバザールで私たちは出会った。
「レイザーだよ。やつが魂を迷宮へ送るんだ」男が身震いする。「電気鞭を使って走らせるんだ。足が地面につかないくらい走らされる」
男――彼は名前を明かそうとはしなかった――はなんとかしてレイザーの監視の目を逃れ、狭き迷宮を抜け出したのだという。彼がその一生について話し始める。会話というより、彼の弁明を聞かされているような気もする。やがて男はようやく、レイザーに話を戻した。
「やつは死者の名前が全部載った本を持ってるんだ」男が言う。「逃げ出した後も、俺の名前はまだ載ってるのかな。どっちにしろ逃げるけど。やつに気づかれて追われるのはイヤだ」
空気が急に静電気を帯びる。空は晴れているのに、雷の音が聞こえ… 男はいなくなっていた。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_15_Razor_LocHeroName" "レイザー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_16_SandKing_LocFieldNotes" "太陽の照り付けるカルダンのバザールは活気に満ちている。露天商たちがキャラバンの隊列に負けじと叫ぶ。香辛料の香りが漂っている。くるくると踊るダルウィーシュは何らかの儀式の最中なのだろう。串刺しのラム肉をかじりながら、私は案内人に言った。生気のない砂漠の真ん中にあって、ここはなんと生命力にあふれた王国なのだろう、と。
ワシムが笑う。「砂漠は生きてるんですよ! シンティラント荒野はものを考えるし、動くんです。そして死体を欲すれば、サンドキングを送り込む」その化身は、とワシムは続ける。それは巨大なサソリの姿をしており、クリクサリス、あるいは“砂の魂”と呼ばれるらしい。ワシムが体を寄せる。「サソリの形のアーマーを作ったのは誰だと思います? カルダンの魔人なんです!」彼の目は楽しそうに――あるいは誇りに満ちて――輝いている。
なぜ、魔人がそんなことを? ワシムが肩をすくめて答える。「砂漠と取引するために姿を与えたんだとも言われてますね。砂漠がカルダンを呑み込んでしまわないように。他には、人間をこらしめるためのモンスターを作るためという説や、単純にたのしむためだという説もあります」
私はワシムの考えも尋ねてみる。魔人が魔法の砂サソリを作った理由は?
ワシムが笑う。「魔人のすることに理由を求めちゃいけませんって!」 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_16_SandKing_LocHeroName" "サンドキング"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_17_StormSpirit_LocFieldNotes" "全身が電気でできているような神々しい姿をしていながら、雷神サンダーケグは驚くほど堅実だ。
このあたりでは「ストームスピリット」と呼ばれることが多い。だが、彼からは「雷神」と呼ぶように言われた。
「友人たちは皆、そう呼ぶのだ。会った者は誰でも友だ」雷神はうれしそうだ。
だが、彼の言い分には議論の余地がある。雷神と私は嵐の地を歩きながら、彼の戦とその勝利について話をしていた。稲妻がうるさいが、雷神はそれを自分にだけ落ちるように操っている。くすぐったいだけだ、と彼は言うが、それにも私は異論を唱えたい。
それから彼は、雷神となった経緯を説明する。飢饉に苦しむ民を救うために雨を呼ぼうとした彼は、嵐の神を怒らせてしまい、殺されそうになったという。そこで雷神は自分を犠牲にして民を救おうと呪文を唱えたところ、自分と嵐の神が融合してしまったというのだ。
空に黒い雲がかかり、雷神は機嫌を悪くしたように見える。しかし、彼はすぐに明るい顔に戻った。
「今は嵐の力をよいことに使おうとしている」晴れやかな顔の雷神が、私の背を力いっぱい叩く。その力も強烈だが、私は彼の手から放たれる静電気によって吹っ飛ばされたのだった。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_17_StormSpirit_LocHeroName" "ストームスピリット"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_18_Sven_LocFieldNotes" "貝殻や脱ぎ捨てられたカニの甲羅が、装甲を付けたスヴェンの足の下で砕ける。彼はナロー海峡沿いの血染め砂の岸辺を歩いている。オレは一週間ほど、彼の20歩後ろを歩き続けていた。一度手を振ったが、応答はなかった。
分かったことはある。スヴェンはまるで足元にあるのが悪いとでも言うように、地面を踏みつけて走る。水中でも陸上と同じように快適そうだ。彼の母親が海の生物だというのは本当なのだろう。戦闘時と同じようにアウトキャストブレイドを操って狩りもできる。
冗談で言ってるんじゃない。スヴェンが100ヤード先を駆けるグンガ鹿にあの剣を投げるところを見た。剣はグンガ鹿の硬い背骨に突き刺さり、6インチも沈んだんだ。それに次の朝、グンガ鹿のよく焼けたもも肉をたき火のそばに残してくれた。彼なりの騎士道か? お近づきの印か? 単に腹がいっぱいだっただけなのかも。
ようやく彼の注意を引くことができたオレはインタビューを開始する。早速、メラントとのハーフだってのは本当かと聞いた。スヴェンは横目でこちらをちらりと見ると、ナロー海峡にいくつもある桟橋の一つに出て、フルアーマー姿のまま海に飛び込んだ。漆黒の海が、波紋も立てず彼を呑み込む。
「そうだ」とオレは書く。スヴェンへのインタビューは今まで誰が経験したものよりも長い。悪くないじゃないか。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_18_Sven_LocHeroName" "スヴェン"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_19_Tiny_LocFieldNotes" "ヴュールクラグ山地の合間にあるその谷には硫黄が充満していて、オレは激しく咳き込んだ。ストーンジャイアントのタイニー(矛盾した呼び名だ)は歩幅が大きく、ついていくのに苦労する。歩いているうちに、タイニーは少し大きくなったような気がする。おい、歩幅も大きくなってないか? 周囲の石を取り込んでるんじゃないだろうな。
「うむ、最初は溶岩だったのかもしれん」タイニーが答える。どうやらオレは疑問を口に出していたらしい。「ここの火山のどれかが、吾輩を生んだのかもな。ありがとう、小さきものよ」彼の体についている岩が音を立てた。
タイニーを見つけたのはほんの数時間前だ。彼は谷の端に木を投げる練習をしていた。彼の頭の上にある同心円が、故郷を示す鍵なんじゃないかと指摘すると、彼は困惑した。自分の頭の上など見たことがないと言うのだ。オレは荷物の中から反射鏡を出して見せてやると、タイニーはほほ笑んだ。ああ、間違いなくほほ笑んだ。
「ヴュールクラグ山地の一番高い山に登ったとき、そこからこの形が見えた。見渡す限りの山が、この形を成していたよ」タイニーが言った。
これを書いているうちに、タイニーはゴトゴトと音を立てて先に進んでしまっていた。速度を上げている。オレは咳のせいで足が進まない。「幸運をな、デカブツ」息は切れるが、祈っておいた。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_19_Tiny_LocHeroName" "タイニー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_1_Antimage_LocFieldNotes" "アンチメイジを探す長い旅は、やがて必然的に俺をウルティミール学術院にふたたび導いた。中に人がいるまま、彼が嬉々として焼き落とした場所だ。
魔術のかかった扉に名前を告げ、俺は食堂に向かった。情報提供者として頼りにしている魔術師が、前回会った時とまったく同じ席に座っていた。彼は底のないマグにミードがひとりでに満ちていくのを、ぼんやりした目で見ていた。
この男は、恨みを抱く怒れる神々のことから、魔術師たちの大戦争のこと、月に関する豆知識まで、ありとあらゆる話題について語ってくれる。彼が唯一語ろうとしないのは、俺が彼に尋ね続けている人物のことだ。アンチメイジの剣は魔力を吸収するのかと聞くと、「ドレッドウッドの巨大蜘蛛の話を聞いたことは?」と返し、仲間をタイラー邸に閉じ込めるアンチメイジの仕事は?と聞くと、「高品質のローブをお得に買える店を教えますよ」と返しやがる。俺は次に、最近やつを見かけたか、と聞いた。
男は体を震わせた。もう話題を変えるための話題がないのだろう。彼は急に落ち着きなく正気を取り戻すと、俺の目を見て言った。「あいつのことは話したくない」それだけ言うと、男は俺に背を向けた。彼の視線はふたたび、マグに渦を巻くミードにそそがれていた。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_1_Antimage_LocHeroName" "アンチメイジ"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_1_Antimage_LocPersonaFieldNotes" "タイラー邸にある簡素な一室で席に着いたとき、ウェイは歩き回っていた。タイラー邸は犯罪を犯した魔術師の収容所で、私はウェイの矯正官の部屋にいた。はじめ、俺たちは互いに失望していた。俺はついにアンチメイジにインタビューできると思っていたし、彼女は扉がノックされたとき、脱獄者を殺す“楽しい”時間が来たのだと思っていた。それでも、グッドカインドの名を出すとウェイは笑顔になった。実は彼女の名で本が出るのを願っていたのだと、熱意のこもった顔で告げてくる。「でも、そう言ったのは記録しないで」とウェイは付け加えた。俺は書き留めた文章を消す振りをした。
ウェイとの会話は、川を制御しようとするようなものだった。彼女は魔術師の略奪者によって家族が殺された話をしていたかと思うと、突然、厳格な食事法について熱心に話し始める。すぐに話題は彼女が初めて切り落した魔術師の頭のことに飛び、やがて矯正官の本棚にある“超退屈”なわけではない本について語るのだ。
最後に俺はやっと、アンチメイジがどうやってウェイを見つけたのか尋ねることができた。「ああ、その話は記録するのにうってつけね」それからウェイは考えをまとめて、こう言った。「ごめんなさい。なんの話だっけ?」 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_20_VengefulSpirit_LocFieldNotes" "「シェンデルザーレとお呼びください」ガストリ・アイリーの女王は告げた。
この国での彼女の呼び名「ヴェンジフルスピリット」は、もっと違うものを想起させる… そう、復讐への執着だ。だが、誰もが彼女の善政について口にしていることを考えれば、彼女は愛されているのだろう。彼女の前任者であり妹のインペリア前女王が残酷で邪悪な独裁者だったことも、シェンデルザーレへの高評価に一役買っている。人心をつかみたいなら、彼女のようにするのもよいだろう。
そもそもインペリアはシェンデルザーレから玉座を奪い、彼女の翼を切り落として最も高い塔から彼女を放り投げたのだ。シェンデルザーレは死んだものと思われていたが、さまよえるいたずらな女神との出会いが彼女の命を救った。
いや、完全に救ったとは言えない。シェンデルザーレは何年も、生きているとも死んでいるとも言えない状態にあった。彼女の呼び名はその“魂の状態”から来ているんだろう。復讐心を示す「ヴェンジフル」は、玉座を奪い自分を殺そうとした邪悪な妹に向けられているのだと思う。
今のシェンデルザーレは穏やかだ。彼女が燃やしていた復讐心は消えている(それに個人的には、最近の彼女は目に見えて体がはっきりしてきたように思う)。クーデターと国王殺しの後、スカイラスは正しい姿を取り戻した。
いや、一部はそうでもない。翼なき者たちの件があるからだ。彼らはシェンデルザーレに味方して、インペリア打倒を手伝った。見返りに求めたのは、王国内での平等な扱いだ。彼らはシェンデルザーレに約束を守らせようとして、過渡期の苦しみを味わっている。
それでも、シェンデルザーレは正しく公平である限り、平和をもたらせると信じている。つまり、妹のようにはならないということだ。この頃はあまり復讐にも興味がないらしい。「復讐心によって私は王国を取り戻しました」とシェンデルザーレ。「ただし、復讐心では人々を導けません」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_20_VengefulSpirit_LocHeroName" "ヴェンジフルスピリット"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_21_Windranger_LocFieldNotes" "ザル・キナの外の木々は、ライラレイの手に合わせて動くように見える。木々の枝を押したり引いたりする風はやけに冷たく、体が冷え切って震え出すほどだ。まったく、いつも何かしらケチがつく。
ライラレイは「あっ、ごめーん」と言って肩をすくめるが、ウキウキした様子は変わらない。
マントを脱いで俺に差し出す。知り合ったばかりの\"友\"から贈り物をもらうと、ロクなことにならない。そう学んできた俺だが、たまらずマントに身をくるむ。
「嵐で親をうしなったのに、どうして風を愛せるんだって言ってたでしょ?」彼女は妙に軽い調子でしゃべる。「そこがそもそも違うんだよ。私の親はあの人たちじゃなくて、風なの。風は私を産んだ人よりずっと母親らしくしてくれる。子守唄で寝かしつけてくれたり、髪をとかしてくれたりね」
ライラレイがまたしても何の気なく身振りを交えると、焚火から火の粉が飛んでくる。俺が顔をそらすと、彼女はケタケタ笑いながらまた謝る。
「うちのお母さん、今日はゴキゲンみたいね」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_21_Windranger_LocHeroName" "ウィンドレンジャー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_22_Zeus_LocFieldNotes" "ベラドンナ亭の外で稲光がはしった。かろうじて雨を防いでいるボロボロの雨戸越しでも気づくほどのまぶしい光だ。これだけの嵐となると、それが意味するところは一つしかない…
ゼウスがキレている。
予想に違わず店の扉が勢いよく開いて、神々の父が乗り込んでくる。
「テーブルはご用意してますんで!」恰幅のいい亭主はさっそく卑屈な調子で声をかけつつ、大急ぎで店の中央にあるテーブルに向かい、席にいた客を追い払う。今にも電撃を放ちそうなゼウスの目と指先を見て、客たちは直ちにその場を離れたほうがよいと悟る。
ゼウスは勢いそのままに腰を下ろし、椅子がその重みにきしむ。そして注文するより先に、エールの大ジョッキがその前に置かれる。
「あとどれだけ定命どもに力を示せば、オリュンポスに戻れるというのだ?」とゼウスががなり立てる。亭主は「…きっと、もうすぐですよ」と呟き、すぐに黙っておくべきだったと思い至る。
ゼウスはしばしグラマラスな女性給仕を目で追い、首を振って酒を流し込む。彼は度重なる浮気が原因で、妻によって追放されたのだ。
「戦わねばならぬ」ゼウスは大きくため息をつくと、土砂降りのなかへと消えていった。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_22_Zeus_LocHeroName" "ゼウス"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_23_Kunkka_LocFieldNotes" "わななきの島の西端では、高波が岸壁に打ち付けていた。私はクラッドヤギ農場を営むターンという男と草地を歩きながらも、すぐそばの崖から十分な距離をとるよう心掛けた。
「すべてはずーっと沖のほうで起きたんだ」ターンは海を指さして言った。「デーモンが群れで押し寄せてきて、海軍はやつらを食い止めようと必死で戦っていた」
並みの艦隊だったらあっという間に崩壊していただろう、と彼は断言した。他の艦隊にはクンカがいないのだ。艦船が次々に轟沈しようとも撤退や投降を考えず、絶望的な状況でも決してうろたえない提督が。
「魔導師連中は自分らが力になったと言うし、実際にそうだったのかもしれないが、クンカが指揮を執る船が一隻あれば、それだけで希望が持てる」とターンは言った。
もちろんデーモンもクラッド海軍もメイルローンには敵わない。深海の底より出でて万物を破壊する、あの巨大な海獣には。メイルローンがクンカの船を沈めたと語る者もいるが、ターンは耳を貸そうとしない。
ターンは断言する。「見通しのいい夜には、今でも海を哨戒するあの人の船が見える。あの人がいる限り、俺たちは安全だ」と。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_23_Kunkka_LocHeroName" "クンカ"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_25_Lina_LocFieldNotes" "空には雲ひとつなく、ミスルールには厳しい日差しが降り注いでいる。
リナが放つ灼熱の電光が靴より大きいサソリを黒焦げにしてくれたおかげで、オレは危うく難を逃れた。キジ肉を焼いたような匂いがする。これほど食欲がわかないキジ肉も珍しいけどな。「こっちよ」リナは8本足の死骸を砂丘の下に蹴り落として、スタスタと洞窟の入口に向かう。
「デザートヴィルムをはじめて見たのは9歳のとき。自分のことを爬虫類の家長のように思ってるみたい。急に動いたりしないで。じゃないと――」そう言って彼女は火球をこしらえる。
「了解した」
オレたちが角を曲がると、ヤツは丸めた体を伸ばし、切れ長の目を片方こちらに向けた。それからヤツはウィンクして、イヌみたいに全身をブルブル震わせてから大声で笑った。
「息するの忘れてるよ」とリナが小突いてくる。
ふたりはリナが大活躍した戦いの様子を炎で再現する。その活躍ぶりも見事だし、それを再現する炎の芸術もまた見事だ。
そうこうするうちにショウは様変わりして、リナは洞窟の壁を焦がしていびつな妹の姿を描き始める。しかも描けば描くほど苛立ちが増していくようだ。オレは静かにお暇した。一人っ子でよかったぜ。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_25_Lina_LocHeroName" "リナ"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_26_Lion_LocFieldNotes" "「俺は幾千もの魂を集めてきた」悪魔アザガールは、彼の身動きを封じている召喚陣の内側でそう語る。「デーモンは一万の魂を集めることでアーチデーモンへと昇格する。俺はあと二つというところまで迫っていた」
アザガールは地獄の出世頭であり、宗教の指導者や慈善家、さらには本物の聖人まで篭絡して清純な魂を集めてきた。デーモンウィッチの魔導師ライオンは、アザガールにとって特に価値の高い魂だった。
「あいつは常に弱者のために戦っていた」とアザガールは言う。「あいつが善行よりも愛したものがあるとすれば、それは善行に向けられる称賛だ」
アザガールはライオンに、指示に従いさえすれば不朽の名誉と栄光が与えられると約束した。彼の正邪の分別を捻じ曲げ、その力を正しき者たちに向けさせたのだ。そしてライオンの魂が完全に堕落すると、今度は彼を見捨て、その魂を手に地獄へと戻った。結果としてかの魔導師は、自らがもたらした害悪と向き合わなければならなくなった。
「俺が一万個目の獲物として、敬虔な司祭の魂を堕落させようと策を弄していたときのことだ。ライオンが地獄に現れて、魂を返すように求めてきやがった」とアザガールは語った。
しかし地獄に返品サービスはない。ライオンは魂を取り戻せなかった。彼は激高して、アザガールの首を刎ねた。地獄から帰還したときには、彼は怒りと憎悪の塊となっていた。
「なあ、療養のために魂集めをひと月休むと、収穫数がゼロに戻されると知っていたか?」アザガールは苦々しい様子で訊ねた。「俺は知らなかったよ」
「また一からやり直しだ。ところでお前、インクがなくなりそうだな。減ることのないインク壺をくれてやってもいいぞ。代償はいただくがな」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_26_Lion_LocHeroName" "ライオン"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_27_ShadowShaman_LocFieldNotes" "シャドウシャーマンのラスタは両手を差し出した。俺は少しの苛立ちと少しどころではない猜疑心を抱きながら、その手を取った。このトロールの評判は、よくて賛否両論といったところだ。「シャーマン」とか呼ばれる連中は、死者の想いを伝えるよりも、カモにする相手の心を読むほうが得意と相場が決まっている。ラスタは白目ばかりの鋭いまなこを閉じて、喉で旋律を奏で始めた。
ペテンモードに入りやがった。またしても時間とカネの無駄だ。しかし旋律が続くにつれて、どこか脳裏に引っかかるようになった。一度かぐと魂が引っ張られて、 記憶を呼び起こそうとする匂いのような、懐かしい感覚だ。ラスタは舌を鳴らして、ここには書けない私的な質問をしてきた。
昔から知っている誰かがやつの声帯を借りて話そうとしているかのように、ラスタはこれまでになく饒舌になったが、俺はなるべく反応しないように努めた。やつが(あるいは彼女が)言うべきことを言い終わると、ラスタが目を開いた。
つば広の帽子を持ち上げ、やつは不気味な笑みを浮かべた。
「ではここで一番大切な――ご寄進を」 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_27_ShadowShaman_LocHeroName" "シャドウシャーマン"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_28_Slardar_LocFieldNotes" "敵の敵の味方に借りたヴェルダウッド材の小舟を風上に向かって漕ぐ。小舟はシェイドショアの荒波に揉まれて不規則に揺れる。いつだって向かい風だよ。ありがとな、グッドカインド。
緑色の尾びれがパッと持ち上がり、パシャリと下ろされる。歓迎の合図。オレの連絡係だ。深海の宝物庫の警護役をしていたナーガは踊るように体を翻して小舟に乗り込み、前払いを要求する。彼女はついでに「今はつがいがいない」と何度も知らせてくる。
支払いを終えると(コイン以外には何も差し出していないぞ)、話がはじまる。あるときナーガとスラーダーは、炎の杖らしきものを盗んで深海に逃げたメラントを追跡した。海中では杖に火をともそうとしてもすぐ消えてしまうので、悪用される心配はしていなかったそうだが、筋は通さねばならなかった。
そんなわけで、冷酷なスラーダーは盗人を捕らえると岸辺まで連れていき、杖の先端をそいつの腹に固定して1日中じっくり火を通した。
「肉の焦げる臭いのひどかったこと」ナーガはうっとりとした様子で回想する。「でもスラーダーは墓場に送り出す前に、大事な教えを授けてやったのさ」 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_28_Slardar_LocHeroName" "スラーダー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_29_Tidehunter_LocFieldNotes" "スモークハーバーの南方には1マイルほど純白の砂浜が伸びており、ところどころに港から漂ってきた霧がかかっている。霧が濃くなると、時として水際に立てられた「遊泳禁止」の看板が隠れてしまうほどだ。だからこそスモークハーバーの市議会は、数フィートごとに看板を設置したのだ。決して見逃されることがないように。
海岸からやや離れた場所にあるリゾートのオーナー、ペレンによると、この地域は富裕層が集まる観光地だったとのこと。
「実に多くの商人がここを訪れた」ペレンは陰気な声で語る。「家族連れで1週間ほどのんびりする人もいれば、他の商人との取引が目当ての人もいた」
だがそこにタイドハンターが現れた。
まず海面が激しく揺れる。次に最初の悲鳴が聞こえる。続けて多くの悲鳴が、そして無数の悲鳴が響く。水中にいる者は皆、簡単に餌食となった。地上にいる者の一部は逃げ延びられる可能性があった。だがそれも数が多かったからに過ぎない。殺戮者は手際よく嬉々として動き、行く手にいる人を虐殺しながら進んだ。
「今は青く見えるだろう? あの海が真っ赤に染まった。あの白い砂浜も、数か月波に洗われてようやく染み込んだ血が落ちたんだ」とペレンは言う。「それが1年前のことだ。まだ観光客は戻ってこない。もう誰も訪れないかもしれん」
ペレンは看板の位置をまっすぐ立て直す。「砂浜はあっても泳げないんだから… 客のせいとは言えないよ」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_29_Tidehunter_LocHeroName" "タイドハンター"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_2_Axe_LocFieldNotes" "地上界に足を踏み入れたヒーローのなかで、偉大なるモーグル・カーン、またの名を斧使いのアックス偉大なる斧使いアックスと肩を並べられる者はごくわずか ほとんど皆無 一人として存在しなかった。その残虐性 芸術性を間近で見たオレも躊躇なく断言する。彼はこの地の歴史上でもかなり勇敢 疑う余地なく最も勇敢な戦士だ。
レッドミスト軍の将軍にして最も偉大なオグロディは、一騎当千の武勇と不惜身命の胆力 不惜身命、すなわち死をも恐れない胆力 ハンサムな顔を持ち合わせている.
彼は自身の功績に関して、驚くほど念入りに確認する。数限りない彼の美点を記録することを奨励されていないのではないように見えるのであれば、それは不正確とは言えない。
モーグルから、数限りない美点に触れた最後の一文が気に入ったと言われた。さらに彼は、彼に言われるがままに彼の偉大さについて書き記しているのではないと明言するよう求めている。
だが彼はとてもすごいのだ。これはオレが自分で書いた文章だ。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_2_Axe_LocHeroName" "アックス"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_30_WitchDoctor_LocFieldNotes" "「お望みは治療? それとも元恋人への呪い?」
ウィッチ・ドクターのザルヴァッコは、プレフェクトゥーラ島の密林にある村では一番大きい彼の小屋の中を、ふらふらと歩き回った。古びた棚には編み上げられたトリンケットやトカゲの死体、大小さまざまの頭蓋骨などが積み上げられていた。そう、頭蓋骨は大量にあった。
「どんな望みでも、このドクターなら何だって叶う」彼は予想外の快活さでそう言った。
自分の目的が治療でも呪いでもないと説明すると落胆したように見えたが、ポーションを調合しなくても話を聞かせてくれれば謝礼を渡すと告げると、また機嫌が良くなった。
「ワタシの話を聞くの? 時間はある? ワタシの話は面白いよ」そう言って彼はクククと笑った。
「何年も昔、チビだったワタシは壊れてて、醜かった。でも神々は慈悲深いんだ。ワタシに力をくれて、ワタシは自分を直した」
彼は背筋を伸ばした… といってもまだ腰は曲がり、体は歪んでいたが。そして両腕をめいっぱい広げ、深く息を吸い込み、積み上げられた骨を誇らしげに崩した。
「おかげで今は、かなり元気そうだろう?」
頭蓋骨が足元まで転がってきた。私には違うと言えるほどの冷たさも勇気もなかった。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_30_WitchDoctor_LocHeroName" "ウィッチドクター"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_31_Lich_LocFieldNotes" "底なしの穴が存在しうるケースを1つ考えろと言われても無理だ。私にはちょうど5つ考えられる。
1. 惑星を貫くトンネル。2. 無限のヴォイドへと通じるポータル。3. 忘却の扉。4. 停止に限りなく近い状態にまで落下を遅延させる時間の遅れ。5. まったく別の何か。
穴を水で満たせば池となる。その池の底を抜けば黒ヶ淵池となる。あの池を(不本意であったとしても)リッチほど詳しく研究した者は他にいない。氷の魔術師エスリアンは暴君であり、その地位から追い落とされ、そして池に落とされた。彼は1年の間沈み続け、そして険しい岩場で無数の年月を過ごした。それは熟考を重ねるには十分な期間であった。
私は彼に、本当に池には底がないのか訊ねた。彼は笑みを浮かべた。唇のない頭蓋骨ゆえ作れる表情には限りがあるわけだが、それにしても薄気味が悪かった。
「かつて同じことを訪ねた者がいた。アンヒルといったか? 彼は好奇心が強かった… 強すぎた」リッチは身を寄せ、機嫌のよさそうな声で言った。「軽率なジオマンサーの味はすこぶる気に入った」
黒ヶ淵池なんてどうでもいい。リッチの腐敗が底なしなのは、もはや明らかだ。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_31_Lich_LocHeroName" "リッチ"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_32_Riki_LocFieldNotes" "スロムの街には霧がかかり、街灯の光は弱々しく、路面の大部分は影に覆われていた。とはいえ明るい昼日中であっても、彼の接近には気づかなかっただろう。私の喉に突きつけられた刃が、彼の挨拶だった。
「なぜ俺のことを嗅ぎまわる?」リキは凄みのある声で訊ねた。「早く答えろ。貴様を生かすか殺すか、一日中考えている暇はない」
王家である彼の家族を殺害した軍隊がスロムに入ったことは、私も話に聞いていた。彼らに話を聞くためにスロムに到着したとき、兵の多くは奇襲によって惨殺され、生き残った者はすでに逃亡した後だった。ゆっくり話さなければ――喉元の鋼のせいで、声帯をむやみに動かさず慎重に話す必要があった――殺すことで復讐心が満たされたのか、私は訊ねた。
「復讐?」彼は純粋に驚いた様子だった。「何の復讐だ? 家族への愛など大したものじゃない。そもそも王位継承権すらなかった」
「家族を手にかけた連中を殺したのは復讐のためじゃない。殺せるから殺したまでだ」
それだけ言い残して彼は消えた。激しく打ち付ける自分の鼓動のほかに、彼があの場にいた痕跡は何ひとつなかった。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_32_Riki_LocHeroName" "リキ"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_33_Enigma_LocFieldNotes" "エニグマが誰なのか、いかなる存在なのかについては諸説ある。呪われた錬金術師、知性を有するブラックホール、あるいは受肉した深淵か――私としては、そのいずれにも出会いたくはなかった。
有力な手掛かりとなったのはジョヴァト・カズランの手記。これは発狂したとある錬金術師の息子から譲り受けたものだ。
「喜んで差し上げますよ」彼はほとんど申し訳なさそうに言った。「読まないほうがいいと思いますが」
警告されたにもかかわらず、私は解読を試みた。手記はほとんどが闇の魔術に関する抽象的な考察で、正直なところ私の理解を超えていた。しかも最後のページが欠けていた。私は内容を解説してもらおうと専門家を探し、やがてセドリックという名の錬金術師の足跡を追うことになった。
セドリックの研究室は天上の抜けた屋根裏にあった。書籍や瓶がそこかしこに散乱するなか、石造りの床にチョークで魔法陣めいたものがいくつも描かれ、その周囲には短くなったロウソクが置かれている。しかしセドリックはとうの昔に他界していた。
手掛かりは潰えた。調査はこれまでだ。これで肩の荷が下りる… はずだった。だが私はむしろ、落ち着かない気分になった。不死を約束する書の最後のページが欠けているのだ。私のほかにもその行方を突き止めようと試みる者が出てくるはずだ。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_33_Enigma_LocHeroName" "エニグマ"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_34_Tinker_LocFieldNotes" "何年にもわたり利用者もなく放置されていたにもかかわらず――洞窟の壁面を滴る液体は、よくよく調べると水ではないと判明するかもしれないが――ヴァイオレットアーカイブは平均的なキーンのあばら家より状態が良かった。キーン族は知識の保管庫を訪れる物好きのために危険な罠をこしらえるのが常だ。俺の予想は見事に当たり、罠をかわすことができた。仕掛けられた砲火やら串刺しやらの罠を避け、トゲの落とし穴を乗り越えた俺は、廊下脇の部屋に入り、しばらく調べまわってようやくボウシュの手記を発見した。いわゆる「ヴァイオレット台地事件」の原因に関する記述だ。
俺は技術者ではないが、ボウシュの走り書きを追える程度の知識はある。ボウシュの仕事は、こちらが知りたくもないのに知ることになった他のキーン族の仕事をはるかにしのぐものだった。ボウシュは得体の知れない金属管やオーブを駆使して、光そのものを意のままに操れるようになったのだ。
手記の文体は歓喜に満ちたものからパニック状態のものへと変化している。ボウシュは次元間防衛シールドの開発に向けてツールを作成したが、そのツールはやがて制御不能となったのだ。光は内側に折りたたまれ、それを幾度か繰り返したあげく、張力が限界に達したバネのように弾けて元に戻り、この世界と邪悪な別世界との間に穴をあけてしまった。
以上がアーカイブにある最後から二番目の手記の内容だ。正真正銘最後の手記を開くと、そこには次のテキストだけが書かれていた。「次元間防衛シールド、第2回試験…」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_34_Tinker_LocHeroName" "ティンカー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_35_Sniper_LocFieldNotes" "カーデルは、俺がくだらなくも命懸けのゲームに参加しない限り、聴き取りには応えないと言ってきた。俺は彼から100歩ほどの地点まで離れ、日記帳に大雑把な顔の絵を描いた紙片をちぎって掲げた。俺が瞬きするよりも早く銃弾が頭上に飛来し、標的のど真ん中に穴をあけた。
「もう100歩後ろに下がれ」とカーデルが叫んだ。俺はもう1枚ページをちぎってさらに遠ざかった。銃弾はまたしても的を貫いた。
「もっと離れろ」俺は離れた。「いや、もっとだ」もはやカーデルの姿はほとんど見えず、声などまるで聞こえない場所まで進んだ。だがまたしても、銃弾は命中した。
後でエールを飲みながら、カーデルは苦しい胸の内を告白した。彼は荒唐無稽な予言が理由で、他のキーン族からも信頼されていなかったのだ。たいていの人から彼が真っ当に扱われるのは、懐が温かく誰か始末したいやつがいるときだけらしい。カーデルがしばしの間でも孤独を忘れられたのは、よりにもよって俺のおかげだったというわけだ。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_35_Sniper_LocHeroName" "スナイパー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_36_Necrophos_LocFieldNotes" "ブリルスウッドという小さな村は、埋葬布を思わせる分厚い腐敗の帳に覆われていた。私は厚手の布越しに息をしながら、静まり返った道を歩き、堕落僧者ロタンジェールに関する話をしてくれそうな人を探した。
彼はつい最近ここを通った。道端に転がる膨れ上がった亡骸からして、それは明らかだった。亡骸は黒ずんだ膿疱に覆われている。その多くは破れ、完全に干からびることのない、悪臭漂う腐敗汁のようなものを地面に撒き散らしていた。
喀血したと思われる人もいれば、病が肺を侵食する前にこと切れた運のよい人もいた。
私はロタンジェールがブリルスウッドを通過してから十分な時間が経ち、病原が消え去っていることを願った。その一方で、この場から離れるまでなにも触るまいと心掛けた。
村を出てから24時間が経過したが、喉にわずかな違和感を覚えるたびに冷や汗が出る。ネクロフォスの病に感染したのであれば、すでに発病しているはずだから大丈夫――そう祈っている。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_36_Necrophos_LocHeroName" "ネクロフォス"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_37_Warlock_LocFieldNotes" "「あやつは出入り禁止だ」ウルティミール学術院のウンボルト・タールナス学部長は忌々しげにぼやいた。
華麗な図書室(とアーチ天井が特徴の研究室)でもある執務室の中を歩き回りながら、学部長はウォーロック、デムノック・ラニックに関する不満を連ねた。
ラニックはウルティミールの主任学芸員兼調達部門長として知られるようになった。彼が魔法学の分野で先達も及ばぬほどの才覚を発揮すると、その名声はさらに高まった。
だが困ったことに、彼は不健全なまでに称賛を求め、秘術の力をものにしようと病的な執念を燃やした。そして一般レベルの魔術では飽き足らず、得体の知れない危険な儀式にまで手を出すようになった。彼は熱に浮かされたように、より禍々しい道へと突き進んでいった。
「あやつはとうとう、ドレッドウッドから杖を削り出し、デーモンを召喚した。学内で実行するなどもってのほかの禁忌だ」とタールナスは語った。
ラニックは現在「ブラックグリモア」を執筆中だと言われている。タールナス曰く、その書には禁術や邪悪な呪文が記されているという。
「ウルティミールとしては看過できん」学部長はそう吐き捨てた。「したがって、あやつは出入り禁止だ。いつの日か、誰かが勇気を出して、あやつにそう宣告せねばならん」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_37_Warlock_LocHeroName" "ウォーロック"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_38_Beastmaster_LocFieldNotes" "崩落の進む高層都市スロムの馬丁は、カロクがイノシシの動きを封じたと言い張る。それもハンマーすら使わず、口でだ。
「キーキー鳴き喚くイノシシをあの人が怒鳴りつけると、イノシシが黙っちまったんだ」
カロクは「ビーストマスター」という称号が気に食わない様子で、何と呼ばれたいのか私が訊ねたところ、「ビーストフレンド」だとのたまった。
カロクは王家の私有動物園に集められたライオンやサルや様々な珍獣と共に育った。(馬丁が横から「オレはあそこの掃除係だったんだ。グリフォンのフンを見たことある? 想像を超える代物だぜ」と付け加えた。)
あるとき一匹の獣が、声に出さず思念伝達によって解放を求めた。国王は笑い飛ばし、獣が血まみれになるまで打ち据えた。カロクは獣の命を救うため懸命に介抱し、獣との絆を強めていった。
獣はある夜、命の灯が消える前に死出の歌を奏で、歌は動物園の壁にこだました。その後ひとつの魂が静かにすすり泣く音が響き、やがて無音になった。それからのことだ、何百とある檻がひとつずつ、ゆっくりと確実に開けられていく音がした。
翌朝、蹄やくちばしや牙や爪でズタズタにされた国王の死体が見つかった。王が最期に何の音を聞いたのかは定かでないが、その表情から察するに、快い音ではなかったのだろう。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_38_Beastmaster_LocHeroName" "ビーストマスター"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_39_QueenofPain_LocFieldNotes" "異常なまでの人気を博した書籍の著者であり、滅亡した都市エルゼの研究家を自称するウルダマインは、乱雑に開かれた本の山から顔を上げ、私に向かって涼しげな微笑を浮かべた。
散らかり放題の彼女の書庫には、自身の著作も含めて分厚い本が無数に収められていた。表紙を見る限り、純粋な歴史書ばかりではなさそうだった。
「アカーシャについて知りたいのね。椅子を持ってきて」と彼女は鋭く言った。
私が腰を掛けるのを待たずに、彼女はクイーン・オブ・ペイン、アカーシャについて語り始めた――エルゼの最後の王は、苦痛を与えることを専らとする存在を召喚するよう悪魔学者たちに命じた。
エルゼの民は信心深く、囚人を拷問するために魔物を召喚するという発想自体が、彼らにショックを与えた。そしてアカーシャが寝室で王に責め苦を与えるために召喚されたと知ると、民は心底落胆した。
「王の絶叫はエルゼのどこにいても聞こえるほどだった」ウルダマインは若干頬を赤らめながらそう語った。「これについて詳しく書いた本があるの… どこにあったっけ」
本を探しながら彼女が言うには、エルゼの民が王を退位させたのは、王の性癖が理由だった。そしてアカーシャは王が失脚したことで自由を得て、今ではあらゆる場所で苦痛を与えているのだとか。
「今はそっちについての本を書いてるの。ベストセラー間違いなしね」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_39_QueenofPain_LocHeroName" "クイーン・オブ・ペイン"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_3_Bane_LocFieldNotes" "ニクターシャの大神殿は、はるか昔にわななきの島の地面を深く掘って造られ、厄介な人々の目に触れないよう秘術で隠されたのだが、それにしては驚くほど煌びやかだ。
数フィートごとに燭台が据えられ、壁の白い塗料が炎を反射してさらに明るく見える。
「かつては黒と深紅の壁でした」ニクターシャの女神官が小声で言う。「恐怖が単なる感情であり、心の持ちようであると我々が信じていた時代のことです」
恐怖の女神に仕える者から、そんな言葉を聞くとは意外だった。ニクターシャは恐怖を生み出しはしたが、恐怖を楽しんではいなかったのだ。
「女神は自らが抱く恐怖を人の世へと波及させたのです」女神官は厳粛な調子で説明した。「恐怖は制御され、目的に供されました。そこに残忍性はありませんでした」
残忍性がなかったのは、女神の悪夢からベインが生まれるまでの話だ。あまりにも恐ろしく、自分が狂気に蝕まれないように、女神が自らの精神から切り離した恐怖。ベインはその恐怖が具現化したものだ。女神はそれ以来、一睡もしていない。
「恐怖はその時、それまで以上の存在に――エレメンタルになったのです」女神官はそう言って身を震わせた。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_3_Bane_LocHeroName" "ベイン"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_40_Venomancer_LocFieldNotes" "ジディ島のアシッドジャングルにたちこめる緑の靄のなか、私はヨモコ賊のオコト族長の向かいに坐っていた。羽根飾りケープを身につけた若い男性が、老齢の狩人の言葉を懸命に通訳してくれた。
若者が言う。「むかし、アクトクの人間、ここを襲った。息子を奪い、娘を奪った。生贄だ。蛇の神を起こすための」
族長は苔に唾を吐いた。「悪い神。世界を食う」
若者は身振りを交えて続けた。「でも今、いくつもの月、襲ってこない。我々さがす。木の上からのぞく」若者の視線を受けて族長がうなずいた。「いなくなった。村ごと。地面に骨、家はくずれた」
安心したのではないか、と私は訊ねた。若者が私の言葉を通訳すると、老人は空虚な笑い声をあげた。
「おまえ、わかってない」若者は声のトーンを落としつつ通訳する。「彼らは失敗していない。アクトクを目覚めさせた。アクトク、地面をはう。緑色の肌。背中に花。大きく鋭い歯。毒がしたたる」
族長は身を乗り出し、ビンロウで黒く染まった歯を見せつつ母語でがなり立てた。若者は生唾を飲んでからその内容を伝えた。
「彼は地面を這って去った。戻ってこない、願う。でも今、アクトク生きている」 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_40_Venomancer_LocHeroName" "ヴェノマンサー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_41_FacelessVoid_LocFieldNotes" "彼方の領域クラズレムに関して、私たちはほとんど知らない。そこで私は安全な距離からフェイスレスヴォイドを研究することにした。フェイスレスヴォイドまたはダークテラーと呼ばれる存在が対象である以上、そもそも安全な距離などあるのか、あったとしてどの程度の距離なのか、確実なことは言えないのだが。
幸か不幸か、これについてはほとんど選択の余地がなかった。私はフェルストラスの密林の中で、彼を1日(だったか5日だったか、時間の感覚は失っていた)追跡した。彼のおぞましい姿を視界に捉えるたびに、私の足は重くなり、歩みは遅れた。その一方で、彼は何の不自由もなく動き続けた。
私は時折、彼に近づいてその姿をよく見ることができた。けれども次の瞬間には、彼との距離が倍にも広がってしまうのだった。
あるとき私は全く身動きが取れなくなり、彼がそっと近づいてきて私の匂いを嗅いだ。ありがたいことに、私は脅威として認識されなかったようだ。彼は首をかしげ、目も表情もない顔で私を上から下まで観察し、そして歩み去った。私はその場ですくみ上って彼を見返すことしかできなかった。
それから私は、努めて彼から離れるようにした。未解決のままにしたほうがよい謎もある。ダークテラーはそういった謎のひとつなのだろう。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_41_FacelessVoid_LocHeroName" "フェイスレスヴォイド"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_42_WraithKing_LocFieldNotes" "カルダン図書館のアーチ天井の下で分厚い本のページをめくり続けていたアルドリック・ブランブルソーンは、ようやく探していた項目を見つけた。
「ここだ、ここ」と彼は甲高い声を出して指差す。「ほら、グロいよねえ?」
オスタリオン王の伝説に詳しい歴史家プレンティスは、骨で造られた城が描かれたページを発見した。脛骨で形成した柱の上部に、頭蓋骨が円形に並べられている。城の大きさからして、何万という人が建材になったことが窺えるが、自主的に貢献した者がいたとは思えない。
「オスタリオンは領土全域に支配を行き届かせようとしたんだ。でもそれ以上に望んだのは、領土全域を、永久に支配することだった」とブランブルソーンは語る。とんだ野心家だ。「彼の城は、砦であると同時に警告でもあった」
目的を果たすため、王は禁じられた儀式を行った。敵の魂も臣民の魂も一緒くたにして、彼は己と領地を永遠に結び付けた。人間ではなく、レイスとして。
「生きているとは言えないけれど、活動はできる… 少なくとも自分の目的のための活動は」とブランブルソーンが言う。「王国は滅びたけれど、彼はまだどこかにいて、忠誠を誓うか死を選ぶか迫っている。ほとんどの場合、その両方だけどね」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_42_WraithKing_LocHeroName" "レイスキング"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_43_DeathProphet_LocFieldNotes" "「最後にクロベラスの占術を受けた人たちの中に、お父様も含まれていましたの」年老いた女公爵はしわがれた声で言った。彼女が椅子に深く身を沈める横で、若い侍従が茶を注いだ。
クロベラスは富裕層を相手にする占い師だった。彼女は生と死を分かつ帳の向こうを見る才能を持っていて、そこで目にした光景から未来を知ることができたのだ。
「クロベラスはお父様に、2年のうちに闇に包まれると告げた」と女公爵は言った。「けれどもお父様は健康で、傲慢でしたわ」彼はクロベラスが他者の行く末を占う力があるなら、なぜ自分自身の未来を占わないのか、その理由を訊ねた。
それはするべきではない質問だった。というのもそれは、クロベラスが決して答えを得られない疑問となったからだ。何年にもわたってクロベラスは死をあざ笑い、誰よりも多くの金を積む相手に帳の秘密を売り渡してきた。しかし彼女が内面に目を向けた瞬間、今度は死が彼女をあざ笑うようになった。自分の運命だけは、どうしても見えなかったのだ。
そこで彼女は帳の向こう側へと渡り、自らを贄に捧げて秘密を暴こうとした。死は彼女を拒んだ。彼女は幾度も幾度も送り返され、復活するたびに身はやせ細り、歪み、とこしえの安息を拒まれた。究極の答えも得られなかった。
「お父様は結局、言われた通りの運命をたどることになったの」女公爵は喘鳴を交えつつそう語った。「クロベラスはもはや死期を予見するのではなく、死をもたらす存在になっていたから」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_43_DeathProphet_LocHeroName" "デスプロフェット"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_44_PhantomAssassin_LocFieldNotes" "礼拝堂のひんやりした石壁を手でなぞる。継ぎ目がない。不思議だ。オレの案内役の、暑苦しいガウンを着たお堅そうな副修道院長は、モートレッドと(あるいはシスター・オブ・ベールの誰とも)話すことはできないと言う。オレのためを思えばこそ追い返すだと言わんばかりだ。オレが帰らないなら、モートレッドに何をされるか分からないと。
参るよな。噂の信憑性を確かめたり、アサシンギルドの冷酷なリーダーたち(しかも秘密主義)と話したりして、2か月も手掛かりを追い続けてきたのに、諦めるか殺されるかの二択を迫られるなんて。オレは副修道院長に、リスクは覚悟のうえだと告げる。
すると突然、ガウンをまとった副修道院長の姿がぼやけはじめ、輪郭が揺らいだかと思うとお目当てのシスターが現れる。
びっくり仰天。
「お前は死の卜占の対象ではない」という彼女の言葉に安心する。
「それはよかった」オレは微笑もうと努力する。
「ひとつだけなら… 質問していいぞ」
オレは彼女の幼少時代について訊ねる。
彼女は教団によって、うっすらとしか記憶にないタレス商人の家から連れ去られ、子供のころは剣術と瞑想と回復術の稽古を際限なく繰り返した。入信の儀式については割愛されたが、幽かな笑みと共に、12歳にして史上最年少でベールを与えられたと語る。
初めての殺しはいつだったか? それは彼女と死者だけが知る秘密だ。2番目の殺し? ホワイトキャップの成り上がり国王だ。聞いたことがないって? そうだろうな。
続けて質問しようとする前に、ガウンの婆さんが戻ってきた。残念。
こうなることを予想しておくべきだった。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_44_PhantomAssassin_LocHeroName" "ファントム・アサシン"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_44_PhantomAssassin_LocPersonaFieldNotes" "路地には焦げたランプオイルとサフランの匂いが立ち込め、鼻の奥にこびりついた。石畳にはまだ飛び散った血の痕が残っていたが、商人の遺体はレヴテルの警備員によって運び去られ、清算済みの勘定のようにきれいさっぱり消えていた。
冷たい刃がオレの喉に押し付けられた。「誰がやった?」と訊ねられた。前置きなどする気のまるでない、低く、切迫した声だ。
オレは瞬きをした。「えっと… ここで見たことしか分からない」オレは血痕と、その飛び散り具合と、きれいな弧を指先で追った。「ダブルブレイドだ。ベールをかぶった人影を見たという証人がいた。すべて、この1時間のうちに起きたことだ」
刃が喉元を離れた。物陰から引き締まった体格の人物が現れた。鋭い眼でオレの顔を一瞥し、わずかに頷く。「ならまだ遠くへは行っていないな」
オレは息を吐いた。だが息を吐ききる前に、男は消えていた。足音も、衣擦れもなく、消えた男が放っていた存在感と、男をここに呼び寄せた思惑のみが、この先も続くさらなる流血を予見させた。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_45_Pugna_LocFieldNotes" "修道院は廃墟と化し、黒焦げの梁が空の下でむき出しになっていた。私はノートに観察記録を書き込みつつ灰の中を歩き回った。
文章を書き終わる前に嘲るような笑い声がして、私は手を止めた。見上げると緑色の炎をまとった骸骨の亡霊がいた。衣服はわずかしか身につけていないが、威厳があり、両の目は無邪気な残酷さをたたえて輝いている。
私は気が動転した。「わた、あ、あなたは――」
亡霊は私のノートをひったくると、子供がハエの翅をもぎ取るときのような熱心さでページをめくり、スケッチや傍注を眺めた。ページを繰る音が続き、プーニャを追ってこの地に至るきっかけとなった付近の村々とその伝承のくだりまでくると、その音が止まった。こうして彼を見つけられたわけだが、私は彼を探しに来たこと自体を後悔した。
プーニャの笑みがひときわ大きくなったように見えた。彼が軽い調子で指をはじくと、彼の所在に関する記述のあるページだけ、緑がかった火玉となって燃え上がった。プーニャは燃え残ったノートを放り投げ、私の手から羽根ペンを取り上げた。「いただき!」と言って呵々と笑うと、彼は姿を消した。
私はノートを拾い上げ、焼け焦げた壁にもたれかかった。そして木炭のかけらを拾い上げると、書き込みを再開した。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_45_Pugna_LocHeroName" "プーニャ"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_46_TemplarAssassin_LocFieldNotes" "うろたえた様子の癒やし手に手招きされて、オレは急いで煌びやかな休息所に入る。
「お体がどんどん弱っています。ブラブラしている暇はありません」と癒し手が言う。
オレがブラブラの達人だって評判は思いのほか広まっているようだ。
シスルダウンの枕が置かれた天蓋付きのベッドに横たわっているのは、ウハツの前公爵。目つきは鋭く、話をしたがっている。
秘密の知識を貪欲に追い求める彼は、全知に通じる鍵が隠されているという大法典に行きついた。だが彼の知の探求は、厄介な連中の気を引いてしまった。宇宙の秘密を解き明かす呪文を唱えている最中に、ラナヤのサイオニックブレイドが彼のこめかみに突き立てられた。ラナヤは上層部から公爵の暗殺を命じられていたのだが、彼が得た知識と引き換えにある提案をした。
死亡したとみなされる程度に彼の精神を消し去り、見せしめとするために一日一回目を覚まして懺悔話をする、というのがそれだ。ラナヤはサイオニックブレイドで彼の精神を切り取った。公爵が生涯を通じて得た知識は、この悲劇的な逸話を除いてラナヤのものとなった。
公爵の目が焦点を失う。彼は倒れこみ、身じろぎもせぬまま呼吸を続ける。
いいベッドがあるのがせめてもの救いだ。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_46_TemplarAssassin_LocHeroName" "テンプラーアサシン"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_47_Viper_LocFieldNotes" "弱々しい小雨が森に点在する空き地から立ち昇る煙を消そうとしている。樹齢千年の節くれだったニレの木の残骸は緑色に発光していて、そこに水滴が落ちるたびにピチョン、ジュッ、ピチョン、ジュッと音がする。
レンジャーガイドのアロルが銅貨を掲げ、液だまりに投げ込む。銅貨は有毒な煙となって瞬く間に消え去る。
「言っただろ、えげつないって」と彼が笑う。オレは恐怖と称賛の入り混じった口笛を吹く。オレはヴァイパーという名の哀れなネザードレイクによる、最新の酸攻撃の被害を検証しようとしているのだ。
森の入口に住む人々から地図にも載らない最深部でひっそり暮らす連中まで、森の住民は貯蓄をはたいてレンジャーを雇い、ネザードレイクを駆除しようとしてきた。ヴァイパーはしつこく、あるいは暴力をもって、森の民に自分を崇拝するよう求めてきた。これまでのところ、レンジャーがヴァイパーの襲撃を斥けられたためしはほとんどない。弓も剣も溶かす物質を排出できる生物に、矢傷や刀傷をつけられるはずがない。
オレはヴァイパーを崇拝してみたことはあるのかと訊ねる。アロルがおかしな目で見てくるから、聞こえなかったのかと思ってもう一度質問したところ、その表情からやはり最初から聞こえていたのだと悟る。ありがたいことに雨は本降りになり、オレたちは煙のくすぶる森にかろうじて残っている木々の下に駆け込む。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_47_Viper_LocHeroName" "ヴァイパー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_48_Luna_LocFieldNotes" "「ノヴァとは前にも会っているのだな」兜をかぶり、赤みを帯びた月光に映えるグレイブを手にした戦士は、銀夜の森から姿を現しつつ言う。
確かに会っている。巨大なネコによって、木の幹に押し付けられている。この大きさなら二口で私を飲み込めるだろう。じっくり味わいたいなら三口といったところか。
「用件を述べろ。嘘はつくな」ルナが警告する。「騙そうとしても女神様はお見通しだ」
私は金床ほどもあるネコの手が胸に押し付けられた状態で、なんとか息をしようと試みる。彼女の物語を聞きに来たのだと、苦しみながらも説明する。月の光が赤みがかった色から銀色へと変化し、ありがたいことにネコは私への興味を失ってその場を離れる。とはいえあまり遠くまでは行かなかったが。
ルナが語るところによると、彼女はかつてひとかどの戦士だったが、その部隊は全滅してしまった。彼女は目的を失って放浪し、飢えてほとんど狂気に陥り、死を目前にしていた。そのとき月の女神セレメネがノヴァを遣わして、彼女に試練を与えた。ルナが試練を乗り越えたことは明らかだ。
「私が戦に赴くのは、セレメネ様に仕えるためだ」ルナは恭しく語る。「血を流すのも、あの方のためだ」
そう言って彼女はノヴァの背に乗り、両者は跳躍しつつ消えていった。セレメネは彼女を飢えから救った。狂気からも救ったのかと言われると、怪しいところだ。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_48_Luna_LocHeroName" "ルナ"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_49_DragonKnight_LocFieldNotes" "勇敢なるダビオン卿、賢きダビオン卿、高貴なるダビオン卿。顔を合わせるすべての人に愛される騎士というのは、大変に違いない。ダビオンは注目を浴びて悦に入るタイプではないが、地元も乙女たちが英雄を一目見ようと小突き合っているときは、わずかにニヤリとしていた。
そんななか、彼を苛立たせる呼び名がひとつだけあった。龍殺しのダビオン卿だ。俺からすればおかしな話だ。ダビオンは悪名高いドラゴン、スライラクを殺したことで名を馳せたのではなかったか? 彼は葬ったドラゴンの鱗を身につけているのではなかったか?
謙虚を装う者は前にも見たことがある。だから俺は、彼のお付きの者がハウプシュタットに出かけたすきに、単刀直入に訊いてみた。そこで初めて、彼の目に別の存在が宿っていることを察した。スライラクを倒したことで、この不運な男は強大なドラゴンの力を吸収しただけでなく、自身の最大の敵と共感するという厄介な力まで身につけたのだ。(名高いドラゴンスレイヤーにとっては、確かに厄介だ)
ではダビオンはドラゴン退治を諦めたのか? 必ずしもそうではない。スライラクとて、すべてのヴィルム種と仲が良かったわけではない。むしろその多くを忌み嫌っており、意趣返しを望む相手も無数にいるとのことだ。要するに両者は互いを理解するに至った、ということなのかもしれない。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_49_DragonKnight_LocHeroName" "ドラゴンナイト"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_4_Bloodseeker_LocFieldNotes" "ことわざにもあるように、「イクゾクストテクの行くところ、ストリグヴィルの殺戮を見る」だ。
もちろん、彼をストリグヴィルと呼ぶのはボーンハンターの同志ぐらいなものだ。敵は彼をブラッドシーカーと呼ぶ。では友人は? ま、彼は友人が多いほうではない。
そんなわけで、オレがイクゾクストテクを追いかけていると、この巨大な猛禽はブラッドシーカーがまさに虐殺しつつあるオグロディの傭兵団に向かって飛翔していった。彼と顔を合わせる(正確には顔と半顔を合わせる)千載一遇のチャンスだ。
敗残兵を頭からきれいに両断したばかりの彼に追いついた。神秘のアーマーから深紅の雫が滴っている。オレはゴクリと唾をのんだ。「おたくはいつも、その… こんな感じで?」
彼は初めてオレの存在に気付いたようだ。そして驚いたことに、返答してくれた。
「フレイドワンは血の贄を求める」息を荒げて彼が言う。「俺が血を差し出さなければ、フレイドワンは俺の民から血を集める」
思わず後ずさりをしたよ。自分がそうでなくても、血に飢えた者がいることぐらい察しがつく。運のいいことに、このとき彼は、野営に戻ろうとする残りの傭兵の姿を捉えた。オレにとってはラッキー、オグロディにとっては超アンラッキーだ。
彼が傭兵を斬り刻んでいる最中にオレはお暇した。逃げるチャンスはもう来ないだろうから。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_4_Bloodseeker_LocHeroName" "ブラッドシーカー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_50_Dazzle_LocFieldNotes" "「私とて怪物ではない」とダズルは保証した。
私が追いついたとき、彼は霧の森の山地から1マイルほど離れた薄暗い森で、背を丸めて死にかけた雄鹿を見守っていた。
「人は私がノルス界に狂わされたと言うが、ノスル界にあるべき姿を示されたに過ぎないのだ」彼は憤った様子で言った。
ダズルはまだ少年のころに、ノスル界に入るための危険な儀式に臨んだ。儀式を統括するデズン教団の評議会は、行くべきではないとして彼に警告した。彼があまりに若く、経験不足だったからだ。それでも彼は準備ならできていると主張し、儀式への参加を許された。評議会は息子を亡くすことになるであろうダズルの母を慰めていたが、信じがたいことに、彼は還ってきた。
「そもそも、怪物がこんなことをするかね?」
そう言うと彼の手からサーモン色の電光が発せられ、雄鹿を直撃した。雄鹿は即座に立ち上がり、悪夢を振り払うかのように首を振った。
どうやら噂は間違っていたようだ。少なくとも彼が高笑いしてもう片方の手から白い電光を放ち、雄鹿を再び昏倒させるまでは、そう思った。噂にはそれなりの根拠がある。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_50_Dazzle_LocHeroName" "ダズル"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_51_Clockwerk_LocFieldNotes" "怪器類に満ちた作業場で、俺が歯車だらけの怪器を近くで調べようとするたびに、ラトルトラップは何事か口走るのだが、どうやら「そいつは触るな!」と言っているようだった。俺は触るつもりなどないと応えた。こっちだってバカじゃない。それに俺は、彼の警告が心配を装った自慢であることも理解していた。
彼の自信には十分な裏付けがあることも承知の上だ。ラトルトラップが絡んでいるとされる凄惨な死亡事例が多いことからも、彼の警告は妥当と言えるだろう。発明品とその周囲に付着した斑点が血痕なのか錆なのか訊ねたところ、ラトルトラップはちょっとした内輪向けのジョークを飛ばしているかのように、静かに頷いて微笑んだ。俺はハッとした。自分と同じ警告を受けなかった被験者が、何人もいたのかもしれない。
ラトルトラップは罪のない人々が自分の作業場でミンチになったところで気にもしない。だがそれによって、すでにグラついているキーン族の評判がさらに危うくなることは認識していた。
「松明と農具を手にした村の連中に襲われたくはねえからな」と彼はぼやいた。「これだけのもんを動かすのは骨が折れんだよ」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_51_Clockwerk_LocHeroName" "クロックワーク"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_52_Leshrac_LocFieldNotes" "己の無知を自覚することこそ真の知恵である、と言われるが、知りすぎている場合は何と呼べばよいのか?
言い伝えによると、かつて哲学者だったレシュラックはこの問いの体現者らしい。自然の神秘を解明しようと志したレシュラックは、あらゆる創造物の本質を垣間見せると言われる呪われた石、クロノプティク・クリスタルを覗き込んだ。
このとき見た光景はあまりに倒錯しており、彼の精神は二つに引き裂かれた。現在、彼の意識は、いずれも邪悪で無慈悲な二つの領域の中間で漂っている。
最近では彼をトーメンテッドソウル(苦悩する魂)と呼ぶ者もいる。おおげさな呼び名に思えるかもしれないが、彼に遭遇しながらも生還した人々は、それが決して誇張ではないと語る。トーメンテッドソウルの名は、むしろ診断名に近いと言うのだ。
言い伝えでは、彼が得た知識は彼を狂気にではなく、残虐性に駆り立てたとされている。自分の精神を毒するほどの真実を知ってしまった以上、その苦しみは他者と分かち合うべきである――それが彼の理屈だ。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_52_Leshrac_LocHeroName" "レシュラック"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_53_NaturesProphet_LocFieldNotes" "マングルウッドの森に入ると、どうしたって色とりどりの立て札が目に入る。
ひとつには「すべてのゴミを持ち帰れ、と彼が求めている」とあり、別のものには「草木一本伐ってはならぬ、と彼が求めている」とあり、三つ目の立て札には「何ひとつ摘んで食してはならぬ、と彼が求めている」とある。
いずれも訪問者に立ち去るよう命じてはいない。ただ行動を慎み、不要な危害を及ぼすなと求めているだけだ。個々の立て札を見れば、敷地を守ろうとする村の長老の言葉として見過ごされてしまうかもしれない。しかしここはマングルウッドの森だ。町としての機能がある集落からは遠く離れ、人を寄せ付けない節くれだった樹木が立ち並ぶ場所だ。明確に描きつけられた禁忌を破るのは愚か者だけだ。俺は愚かじゃない。
用心しつつ森に入った俺は、当然のごとく愚者の一団に行き会った。俺の脚よりも太い蔓が、地面に横たわる愚者の死体に絡みついていた。指のような枝が旅人の斧をつかみ、その斧は苔に覆われた旅人の首に深く食い込んでいた。口からはキノコが顔をのぞかせていた。
俺は持ち合わせていた木の板に急いで四つ目の注意書きを書き付け、惨劇の現場近くに立てた。「立て札をよく読むこと!」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_53_NaturesProphet_LocHeroName" "ネイチャープロフェット"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_54_Lifestealer_LocFieldNotes" "バロウヘイブンの虐殺者ドロムは、厳めしい眉と喧嘩屋らしい潰れた鼻を持つ大男だった。にもかかわらず、彼は落ち着かない様子で薄汚れた独房を見まわしていた。
「デヴァルクの地下牢は、ここにぶち込まれる連中が行きつく最後の場所だ」と彼は言った。「独房ん中で騒ぎを聞きつけたもんで、外を覗いてみたらよ、看守同士が殺し合ってたんだ。俺らはもう大盛り上がりよ。奴らもそろそろ痛い目にあわねえとな。けど急に静かになっちまった。そのときだよ、アレを見たのは」
看守の一人が夢うつつの状態で、それの独房を開けたのだ。そしてその直後、八つ裂きにされた。
「デカかったし、なにより長かった。歯が重なるように生えてて、皮膚のあるべき場所に骨が突き出てた。いかにもぶっ殺してやるってな目つきでな」ドロムは息をのんだ。
翌朝、監獄付きの聖職者が朝の説法をするために訪れた。聖職者は惨状を見てひとしきり嘔吐し、天罰が下ったのだと述べた。
「でもあんなヤツの存在を許す神なんて、祈るに値しねえや」と言ってドロムは肩をすくめる。
聖職者はそれが徴(しるし)であると考え、囚人たちを解放した。ただ一人、ドロムだけが残った。
「あいつが外をうろついてんなら、俺はここに残るよ」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_54_Lifestealer_LocHeroName" "ライフスティーラー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_55_DarkSeer_LocFieldNotes" "「もうひと勝負」ダークシーアことイシュカフェルはしつこい。
戦場で軍隊を模した駒を指揮するストラテジーゲーム。その4戦目を挑まれた。はじめの3試合はあっという間にオレが敗けた。偉大なる戦略家である彼にとって、どこに面白みがあるのか分からない。
「戦は楽しみとは無縁だ」質問したオレがたしなめられる。「鋭い知性があれば、とるに足らない敵を相手にしたときですら、新たな戦略を思いつくのだ」
はぁ。なるほどね。楽しくなくても、プレイしていると彼の精神が落ち着くようだ。勝負をして、オレが敗けると、彼は過去について語り始める。
エネルギーを操る能力を得る前、彼の故郷である次元の子供たちは、まず肉体を完全に制御する術を学ぶ。イシュカフェルは様々な武術を稽古し、レケル・ドヴィト(ざっくり翻訳すると「無差別格闘」?)と呼ばれる世界規模の格闘大会で優勝した。だからこそ彼はめったに敵に対して物理攻撃を行わないのだ。「ハンデをやらないとな」と言って彼はニヤリと笑う。
それに彼は、敵に殴り勝つより知恵で勝つほうが満足度が高いと考える。
「よいか、お前は左側面の守りをおそろかにしていた。そこが戦力全体の弱点となっている」そう言って彼は、オレが存在をすっかり忘れていた南側の騎兵隊を斜めに動かし、オレの将軍を挟み込む。
「もうひと勝負だ」 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_55_DarkSeer_LocHeroName" "ダークシーア"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_56_Clinkz_LocFieldNotes" "クリンクスみたいな生命体を生み出せる土地があるとすれば、それはタールまみれのホーヴェンぐらいなものだろう。彼を愛せるのも、ホーヴェンの民ぐらいだ。黒い水たまりが点在する鬱蒼とした森を見ていると、宇宙的なスケールの思春期に囚われている眠れる神のイメージが湧く。常に変化しながらも、決して変わらない存在だ。
ホーヴェンがホーヴェンそのものと闘争していると考えるのは容易だが、不用意に動くとブーツがダメになることを除けば、この土地では不思議と均衡が保たれている。
この均衡を守ろうとすることで、クリンクス自身が生と死のはざまに立つことになったのは皮肉なものだ。この土地の外部では、親切で無垢な旅人の胸に穴をあけて喜ぶ炎のデーモンの物語が広まっている。
俺もそんなものだろうと思っていたが、今回ばかりは間違っていた。クリンクスはデーモンなどではない。彼はデーモンを倒したが、その戦いのさなかで炎に身を焼かれた。勝利したことで永遠の命を手にした彼は、総身を炎に包まれた眠ることなき守護者となった。それは祝福であり呪いでもある。彼の頭を覆う炎は、ホーヴェンを脅かす者に対する警告であると同時に、ホーヴェンに暮らす人々にとっては希望の灯なのだ。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_56_Clinkz_LocHeroName" "クリンクス"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_57_Omniknight_LocFieldNotes" "みすぼらしい巡礼者の一団に出会った。オムニシャンスの司祭たちが住むエマウラカスの高い崖地に向かっているのだ。巡礼の道は何週間もかかる山道だった。サンダルを1足と私の忍耐力を半分費やさねばならなかった。しかし、オムニナイトのピュアリスト・サンダーラスについて知ることができるなら、足にいくつ肉刺ができようとも、それだけの価値がある。
ついに、崖が前方にぼんやりと見えた。切り立った鋭い岩に、目のように窪んだ洞窟の数々が穴をあけている。大神官たちが嘆願者をその洞窟に迎え入れる。嘆願者たちが願うのは、ビジョンを得ることだ。私は下級司祭に忍び足で近寄り、オムニナイトについて尋ねた。
「彼は疑念を持ってやってきました」と彼は言った。「彼を犠牲の穴に投げ込もうとしたのです」
それから、私の視線に気づいて彼はこう続けた。「疑念を抱く者には当然です。しかし、彼はオムニシャンスの恩寵を受けて光を放ちました。彼が“すべてを見通す者”に会うために選ばれたと分かったのです」下級司祭は私の様子をうかがい、眉間にしわを寄せた。「まだご質問があるなら、犠牲の穴の見学を手配しましょう」
突然、私はオムニナイトが生まれた経緯のすべてを知っていることを理解した。私は微笑み、下級司祭に礼を述べた。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_57_Omniknight_LocHeroName" "オムニナイト"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_58_Enchantress_LocFieldNotes" "アイウシュタが最初に私を迎えてくれたのは、銀夜の森の奥深くにある緑豊かな空地だ。一人では見つけられなかっただろうヒースの生えたこの場所で、私を導いてくれなかった精霊たちが群れを成していた。
「私を探しているとか」アイウシュタが言った。心地よい声に私は心を和らげる。「仲間たちに、あなたをここに連れてくるよう言ったのよ。あなたの望みは何?」
彼女の言う森の仲間たちはチーチー、クークーと畏敬を込めた上機嫌な声でさえずった。エンチャントレスは知能の低い生物を操れると聞いたことがある。脳みその小さな生き物たちをひれ伏させているのを最初に目の当たりにしたのはすばらしいことだ。
「あなたの偉業について書きたいのです」私はおじぎした。「後世のために」
アイウシュタはやわらかく微笑んだ。彼女の歌うような声が私の耳を再び満たす。
「私の話は長い。重要でもないわ」さえずるような声。「けれど、私たちのまわりにいる生き物たちの話なら――書き残す意味はあるでしょうね」
もちろん、彼女が正しかった。この卑しい物書きよりも彼女の方がよく分かっている。森の女主人は常によくご存じなのだ。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_58_Enchantress_LocHeroName" "エンチャントレス"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_59_Huskar_LocFieldNotes" "遠吠の森は危険な場所だと警告されていた。森にはオーガ、ダイアウルフ、ヘルベアなどがいる。だから、ハスカーを追いたいとはあまり思っていなかった。残念ながら、ハスカーはその森にいるのだ。
幸運なことに、ハスカー自身は思ったよりも愛想があった。燃える焚き火を前に、彼自身について熱心に話してくれ、食べ物も分けてくれたのだ。しかし、彼が旅について話し始めたとき、私たちは腹をすかせた狼の群れに襲われた。
狼に囲まれながら、私は最後の文書を書いたと思われる。どんなに腕があろうとも、一人の戦士が十数頭もいる狼に取り囲まれて、敵うはずがない。最初の1頭に飛び掛かられて、ハスカーはどうと地面に倒れた。次は確実に私だ。
しかし、群れのリーダーがハスカーの肉付きのよい肩に噛みついたとき、ハスカーは筋肉を波打たせ、四肢を伸ばした。一瞬のうちに、狼は開けた土地の向こう側へ蹴り飛ばされていた。別の1頭が私に向かって突進してきたが、その喉は驚くほど突然に、ハスカーの真っ黒なダガーに貫かれた。
狼たちはそれでも迫ってきた。そして、倒れた。狼たちが噛みつき、突進するたびに、ハスカーの怒りは倍増するようだった。
最後の1頭がそっと逃げ出す頃には、ハスカーは血にまみれていたが、最初よりもずっと強くなったように見えた。彼の瞳に激情が宿っているのを見て、私もそっとその場を離れることにした。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_59_Huskar_LocHeroName" "ハスカー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_5_CrystalMaiden_LocFieldNotes" "ブルーハート氷河は最良のときでさえも極寒の地だが、ライライはその吹きさらしの地をさらに凍えさせる。
「あたしの片割れに言われて来たの?」ライライが問う。その目はきらめいているが、声には鋼のような鋭さがある。私を気に入ったのか、殺したがっているのかは分からない。両方かもしれない。
「もちろん違うよね」クスクスと笑い、彼女は自分の問いに自分で答える。「あの子に言われて来たなら、今頃あたしを殺そうとしてるはず」
「その場合、すでにあたしがあんたを殺してる」
声は歌いださんばかりになっているが、彼女の澄んだ青い瞳には別の何かが見える。何かは分からない。けれど、背筋に冷たいものが走ったのは、寒々しい天候のせいではない。
呪縛が解かれ、かすかな兆しが消える。「まあいいや。あたしはこの地を護る者。何の用で来たのか、さっさと言いな」楽しそうな声だ。
私は自分の使命について説明しようとした。世界の偉大な英雄たちの物語を書き残そうとしている、と。けれど、ライライは私の最初の一言を半分も聞かずに興味を失ってしまった。
「うまくいくといいね! もう出ていいよ」彼女が身振りで示す。私たちはすでに外にいるのに、それを認めていないのか、気づいていないのか…。「あたしの片割れに会ったら伝えて。会いに来てよ、って!」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_5_CrystalMaiden_LocHeroName" "クリスタルメイデン"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_5_CrystalMaiden_LocPersonaFieldNotes" "私は千年の眠りについたとされる氷の魔術師が数時間ばかりでも目覚めてくれることを期待して、その話を聞きにブルーハート氷河までやってきた。彼が目覚めなかったとしても、その姿ぐらいは見られるだろう。
けれども姿を見られたのは私のほうだった。アイスラックオオカミに。その毛並みは月明かりの氷原を思わせ、サファイア色の瞳は氷塊を穿つドリルのように鋭かった。
「力を求めて来たのか?」とオオカミが訊ねた。私は地吹雪舞う雪原に仰向けに倒れこみそうになった。
「ある意味では」平静を保つように努めつつ私は応えた。「知識を力とみなすのであれば」
オオカミは目を細め、その視線を氷河に移した。「知識とは水晶のごとき明晰さのこと。だが知識は耐え難い重荷でもある。知識は保存し… 同時に幽閉する」
オオカミは体を揺すって毛皮についた霜を落とし、雪の彼方へと歩み去った。私は(寒さからではなく)身震いし、そして悟った。自分は違う氷の魔術師を探していたのではないか、と。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_60_NightStalker_LocFieldNotes" "バラナー教団は移動生活を営んでおり、日が一番短い土地を求めて数十人単位で動く。私が夕暮れに行き会った一団は、凍てつく氷害の台地の北端で野営の準備をしていた。
これだけ寒いのだから、焚火があってもよさそうなものだ。しかしナイトストーカーのカルト教団では、あらゆる光源が禁じられている。
私は最年長者のパズと面会した。彼女は自分の目をくり抜くことで、闇への献身を示していた。
「そなたは夜を受け入れたのか?」パズは朗らかな調子で尋ねた。私は受け入れた、と嘘をついた。
「それは結構」彼女は唇を引き締めるように、薄気味悪い笑みを浮かべた。「あのお方が訪れたとき、そなたは褒美を賜るだろう」
パズによると、恍惚のうちに訪れる死と、永遠にバラナーのそばに控える権利がその褒美だという。しかし言い伝えによると、ナイトストーカーは常に単独で行動するとされている。信徒でない者としては、なぜ彼が同伴者を望んでいると断言できるのか不思議に思ってしまう。
太陽が険しい岩山の影に消えてしまうと、寒さはいよいよ厳しくなり、わずかな光がさらに弱まる。パズのおぞましい、目のない微笑みは、忌々しい寒気よりさらに激しく私の身を震わせる。
「あのお方がおいでになる」彼女は希望を込めてそう囁いた。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_60_NightStalker_LocHeroName" "ナイトストーカー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_61_Broodmother_LocFieldNotes" "『カズ・ボーストの奇想天外サーカス』と書かれた色あせた看板が、夕暮れの風に揺れている。「ブラックアラクニアのナニを知りでえってんだい?」色濃くなる夕日をやたらと気にしながらカズが訊ねる。
カズは人を引き付けてやまないソロプタレスの宝の山を探しに出かけ、生きて還ってきた唯一の冒険者だ。彼はアイスラックの片隅で、持ち帰った宝を目玉にした見世物を始めた。しかもこの山師は、大胆にもパイロセオ山に引き返して、ブルードマザーの子供たちを見世物の出演者として「勧誘」した。それ以来、彼は逃げ続けている。
「何匹… クモ攫いしたんだ?」
「なんぼもねえよ。200ばかしだっだがな?」
彼はブルードマザーがエサ(不運なヒポグリフ)を弄んでいる隙に溶岩洞に忍び込んだ。「あいづはいづも、次の獲物ば探しでんだけどよ、マユをづぐりはじめっと、夢中になっで最後まで手ぇ離ざねえのさ」そうして彼は、繭づくりの最中に子供たちを攫った。
カズが荷車を叩いて出発の合図を出す。オレは「それじゃ」と言って見送る。
せわしなく動く巨大な脚の音が峠に響いたかと思うと、怒りに満ちた金切り声が耳に届く。
せめて「幸運を」と言ってやるべきだった。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_61_Broodmother_LocHeroName" "ブルードマザー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_62_BountyHunter_LocFieldNotes" "グッドカインドはバウンティハンターのゴンダールに興味津々で、もっと調べるようにせっついてくるのだが、そのたびにゴンダールなんて実在しないと言って断ってきた。彼を見つけようとさんざん苦労してきた俺が言うのだから間違いない。
10人の野盗にゴンダールの風貌を訊ねると、10通りの答えが返ってくる。背が高いだの低いだの、細いだのガッシリだの、緑だの赤だのと、回答者はいずれも自信満々で、間違いなく自分の目で見たと言い張る。ある盗人は、ゴンダールは生ける影であると名付け親の墓にかけて誓った。俺は生ける影に会ったことがあるが、バウンティハンターとやらよりは影のほうが痕跡を辿りやすかった。
ゴンダールの道徳観念にしても、語り手によって様変わりする。最凶最悪の犯罪者しか殺さないと言う者もいれば、愛らしいクーリエしか殺さないと言う者もおり、なかには愛らしい犯罪者しか殺さないとかいう頓珍漢な証言もあった。すべてまったくのナンセンスだ。俺の沽券にかけて断言してもいい。ゴンダールというのは、スリの腕を磨こうと志す子供たちを戒めるために、不安症の無法者がでっち上げた虚像なのだと。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_62_BountyHunter_LocHeroName" "バウンティハンター"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_63_Weaver_LocFieldNotes" "タデウス・グレイマントルはウルティミール大学の存在論学の学部長を務めている。彼が受け持つ錬金術的宇宙論の上級講座では、42年で5人の学生しか及第点を取れなかったと言われている。これは、タデウスの採点が厳しいからというよりも、現実の構造そのものをゆがめて操る秘術は、何があろうとスペルを一言一句間違わずに詠唱できる者にしか教えられないという、ウルティミールの方針によるものだ。
タデウス自身も博士論文のテーマにウィーバーを選んでいたとのことで、私が関連する質問をすると目を輝かせた。彼の説明によると、ウィーバーは存在の管理者であるという。ウィーバーは設計者でも神でもない。ウィーバーにとっての宇宙は、巨大な機織り機から織りだされた一枚の布なのだ。彼らは時間が擦り切れそうな箇所のほころびを繕い、縫い目にたるみがあれば引き締め、我々の存在次元ではない場所から禍々しく名状しがたい何かが侵入してきそうな箇所があれば、そこを補強する。
誰も感謝してくれない反復作業のように聞こえるかもしれない。それにタデウスはスキッツカーを悪者と断じているが、我々の誰もが同じ誘惑に駆られるのではないだろうか。スキッツカーは格別に優れたウィーバーだったが、延々と同じ穴を修繕し続けるうちに心が騒ぎだした。現実を修復するだけでは退屈になってしまったのだ。そして自分の手で現実を生み出したいと願うようになった。
彼の実験は小さなものから始まったが、監視者に察知されるまでさほど時間はかからなかった。スキッツカーは宇宙の広大な一片を継ぎ接ぎしたため、その糸を手繰ることで彼に行きついたのだった。監視者はスキッツカーの世界を切り取り、オーバーワールドから彼を追放した。追放された先は、彼が創ったものかどうかは定かでないが、いずれにしろ誤って生み出された世界――すなわち我々の世界だった。
タデウスはスキッツカーに関する講義を行っていない。この物語を知る者が少ないほうが、織物の安全性が保たれる。「我々の現実は完璧ではないが、今の姿でよいと思うのだ」とタデウスは語る。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_63_Weaver_LocHeroName" "ウィーバー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_64_Jakiro_LocFieldNotes" "30回くらい曲がりくねった先、レヴテルの悪名高い商人迷路を抜けたところに、ボロボロの看板がぶら下がっていた。「ブランブルタイン&息子たち」と書かれている。だが、\"ブランブルタイン\" と、\"息子たち\" の \"たち\" が消されていた。
その看板の下には、小汚い小屋が一軒。ドラゴン肉の商売をするってなら、そりゃ目立たないほうがいいだろう。生きたドラゴンにバレないようにやるに限る。
「あんたが書き手さんか?」そう言ってきたのは、おそらく残された息子だ。小さな鱗付きのもも肉をしけた顔で叩いてやがる。
「ファイアドラゴンの肉は辛くてウマイよ」得意げに言う。「アイスドラゴンの辛さはまた少し違うんだよ。ファイアドラゴンとアイスドラゴンが両方あれば、そりゃもう一攫千金よ」
そんなわけで、ブランブルタイン一家はジャキロを探しに出たという。遠くで瀕死のジャキロを見つけて追いかけたらしい。だが、それは罠だった。ジャキロはケガを装って連中をおびき寄せていたのだ。片方の頭で父親と兄弟の半分を焼き払い、もう片方で残りを氷漬けした。まるで昆虫を琥珀に閉じ込めるみたいに。
「家業ってのは、昔みたいにはいかねえもんよ」最後の息子はため息をついた。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_64_Jakiro_LocHeroName" "ジャキロ"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_65_Batrider_LocFieldNotes" "バトライダーは、「アホな卑怯者」だと信頼できる筋から聞いていたんだが、少なくとも狡猾ではあるらしい。どこを探しても見つかんねえからだ。
今、オレはヤーマラスカフの端っこらへんのツタに覆われた岩陰にしゃがみこんでいる。「ここは、バトライダーウォッチングに最高のスポットだ!」とオレのガイド(湿地帯のやたら熱心な大麦農家)が岩の奥をじっと見つめながら言う。
若い頃のバトライダーは、家のセーブルケイン畑を広げるためにバリブーの木々を焼き払ってばかりいたらしい。親父は、エールビールのジョッキが歩いてるようなやつで、息子に対しては厳格で要求も多かった。息子のことを「チビ」としか呼ばなかったらしい。
ある日、バトライダーの狂気じみた火遊びが、モルドバットの巣を刺激してしまった。そのうちの一匹が彼をつかんで空高く舞い上がった。バドライダーを岩石に叩きつけてヒナたちの餌にしようとしたんだ。
「普通なら、モルドバットに捕まった時点でパニックになるもんだよ」ガイドは地平線を見つめながらささやく。「だが、バトライダーは違った」
ヤツは、暴れるうちに上手く抜け出して、逆にそのコウモリの背中によじ登った。そいつの耳をつかんで「操縦」し、親父の小屋までそいつを飛ばすと、火薬袋を投げ入れた。モルドバットは生まれて初めて、そして最後でもあるアツイ食事を味わった後、バトライダーに首をたたき切られたんだ。
「それで、バトライダーはその後…」
ガイドの話がそこで止まった。頭上で巨大な翼のヒューヒューという音と狂ったような笑い声が響いたからだ。
「たぶん親父が死んでいるか確かめに来てるんだろうな」ガイドが恐れおののきながらつぶやく。オレたちは弧を描いて空を飛ぶ人影を見上げていた。
追記:信頼できる筋によると、いや、そいつにもう一度念を押されたんだが、バトライダーはアホで間抜けなうえに、アックスが怖いらしい。その情報源が見ているうちにちゃんと書けといわれたので書いておく。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_65_Batrider_LocHeroName" "バトライダー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_66_Chen_LocFieldNotes" "最初にチェンのうわさを聞いたときは、不信感しかなかった。かつて無法者だった男が、聖なる正義の側にくら替えしたらしい。長い間、この世界で学んだ経験からして、輝く鎧を纏う騎士ほど内側は錆ついているものだ。
村人どもは、誰一人チェン本人の姿を見たことがなかったらしい。彼を探しに行った友人や親族のことは知っていた。彼らは、チェンの正義の教えに従うつもりで彼を追いかけていたのだ。だが、案の定、一人も戻らなかった。で、俺が確かめに行く羽目に…。
少しの望みを胸にした信徒たちの巡礼が、暴力的な形で終わったであろう血の海の跡を見つけたとき、俺は確信した。この道で合っていた、と。だが、チェンから直接話を聞くのは、賢明ではないかもしれない。そこで、俺は近くの木によじ登った。
高い枝の上から見たのは、泣き崩れている男の姿だった。命乞いか、はたまた赦しを乞うていたのか…俺にはわからなかったが。
まばゆい光が走ると、チェンはその男を改心させた。いつものようにだ。残されたのは、湯気を上げる死体だけ。チェンの忠実な獣たちの祝祭でも始まるようだった。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_66_Chen_LocHeroName" "チェン"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_67_Spectre_LocFieldNotes" "長年、アズメッディル族とマダラル族は争いを続けていた。ルーランズの荒れ果てた砂原の先まで広がる戦いだ。どんな休戦の試みも意味をなさないと思われていた――だが、ある日突然、終戦の時は訪れた。
2人の族長が、大きな天幕に私を招いてくれた。そこは両部族が不穏ながらもどうにか一緒に暮らす、寄り合い場のような場所だった。
「終わりなき戦いだった」アズメッディル族の長は言った。「戦いは、どちらかが滅びるまで終わらない。あの女が現れるまではそう思っていたよ」彼は顔を伏せる。
私が調べたところによると、マーキュリアル・ザ・スペクターが、終わらない争い目当てにやってきた。ある日、特に血なまぐさい戦いのまっただ中、影のように姿を現したのだ。
「それ以来、人々が死にはじめた」マダラル族の長が目を見開いて言った。「刃も矢も使わずに、だ。あの女は人を殺す」
影が戦士達を掌握し、自らの刃が仲間に向かい、多くが狂気に陥った。抗う術もない。両部族は、慌ただしく休戦を決めるほかなかった。
「あの女は唯一神ラーカザルの使いだ。戦うなと告げに来たのだ」アズメッディル族の長が言う。
「違う!」マダラル族の長が怒りをあらわにしながら叫んだ。「あいつを遣わしたのは、唯一神エクトバルだ!」
2人の長の声が次第に大きく、鋭くなっていく。私はそっと席を立ち、新たな戦いを始めようとする2人を残して天幕を後にした。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_67_Spectre_LocHeroName" "スペクター"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_68_AncientApparition_LocFieldNotes" "歴史家たちは語る――カルドルは冷気の虚無から鍛え上げられた存在だと。虚無が彼を、使者であり、同時に警告として生み出したものだと。賢者たちは言う――彼こそが冷気そのものの最も純粋な具現で、この世界を氷の世界に変えるために現れたのだと。
ヒンターランドのコールドバンク平原にある小さな集落トレルの村人にとって、彼の存在はまさに「死」そのものだった。
彼がトレルに現れたと私が聞いたのは、2日前のことだ。今朝村にたどり着くと、村はまだ完全には解けていなかった。数人の村人と牛の頭は、逃げようとした姿そのままで彫像のように凍りつき、倒れた者たちは砕け散り、氷片と化していた。地面は粘りつき、氷が溶けて血が再び液体へと戻ろうとしていた。
カルドルについて言えることは1つだけ――行いは不可解だが、徹底しているということ。生存者はひとりもいない。彼がなぜこの集落を襲ったのか、その手掛かりはひとつもない。聞くところによると、村人は穏やかな人ばかりだった。つまり、彼の行く先どこでもこうなるのかもしれない。
もし、そうだとしたら……彼の破壊行為は意図的な悪行ではなく、ただ「彼が彼であるがゆえに」もたらされる。彼の動機は、永遠に知られぬままだろう。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_68_AncientApparition_LocHeroName" "エンシェントアパリション"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_69_Doom_LocFieldNotes" "人は言う――ドゥームは七つの地獄のあいだを自由に往来できる唯一の存在だと。となれば、私に彼を追跡できる望みなど、七つの地獄のどこにもないことになる。そこで私は、初心に立ち返ることにした。それは他でもない、クレーターだ。
「クレーター」という言葉事態は正確だ。だが、あの光景を現す表現としては控えめだと言える。あれは、荒れ地のオープンウーンド。天から投げ落とされた彼が大地に残した傷跡である。いまだに癒えることなく黒く焦げ、砂は焼けてガラス状の稜線をなし、その鋭さは指先をも裂く。熱気が焦げた悪臭とともに漂う。まるで、その傷が時の経過を拒み続けているかのようだ。この地に近づく地元の者はいなかった。
もっとも、――住民全員がそうというわけではない。ひとりの老いた牧夫が堕ちる瞬間を見たらしい。「あいつは炎の中から立ち上がった。まったくの無傷でな。いや、翼は燃えて煙が上がっていたか。多少の傷はあったのかもしれん。ああ、それと目だ。目が憎悪で燃えておった」しばし考えてから続けた。「とんでもない量の憎悪だったよ」
だが、もし言い伝えが正しいのであれば、ドゥームは炎の中から立ち上がったのではない。存在が炎そのものなのだ。貪り、そして容赦なき火だ。ドゥームは地獄のあいだをただ渡り歩いているのではない。彼の歩むところが地獄となる。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_69_Doom_LocHeroName" "ドゥーム"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_6_DrowRanger_LocFieldNotes" "トラクセクスの家族に会った。松林の下、苔むした屋根の小屋。湿った土の匂いがあまりにも強く、噛めそうなくらいだった。彼らは私を温かく迎えてくれた――やや率直すぎる一面も見えてはいたが。
「あの子は、はじめからうちの子だよ」トラクセクスの義母はそう言いながら、キノコ茶を差し出してくれた。「影のように静かで、思考のように素早い。妖精の取り替え子が戻ってきたんじゃないかと思ったよ」
トラクセクスの叔父もうなずいた。「天性の子だよ。6歳の頃には、乾いた落ち葉の上のネズミを追えるようになっていたからね」一口すすってから続けた。「顔だけだよ、惜しいのは」
叔母はため息をついた。「どっちの親にも似てない。イボも髭もない。地味すぎる。そりゃ消えるのが上手くなるよ」
彼らはトラクセクスの成長についても話してくれた。仲間の誰よりも背が高くなり、ついには屋根の垂木に頭をぶつけるほどになったという。ある日、彼女は外に出て、それっきり戻らなかった。「無理もない。何度もあちこちに頭をぶつけていたから」叔父が言った。「かわいそうに。不器用な子でね」
「それでも、あの子は私たちのトラクセクスだよ」義母がきっぱりと言った。「恋しいことに変わりはないよ」しばらく考えてからこうつけ加えた。「そりゃ、壊れた梁を直さなくてよくなったのは助かるけどねえ」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_6_DrowRanger_LocHeroName" "ドラウレンジャー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_70_Ursa_LocFieldNotes" "生存者に会った。森林が途切れる北の地、煙のこもった酒場にて。片袖を留め、片手でジョッキを握っていた。言った通りに書くと約束するなら話してもいい、と言ってくれた。
「足跡はそこら中にあった。太いのもでかいのも。仲間達は笑ってたよ。こりゃ、楽な狩りになるってな。まあ、実際その通りになったんだけどな」
「ヤツは暗闇の中から現れた。土砂が崩れるみたいだったよ。ビョルンを首から股まで真っ二つに切り裂いた。肉が散らばって、肉屋の屋台をひっくり返したみたいだった。トルステンは頭をかみちぎられて、熟れたメロンを丸石に落としたような、ぬちゃっとした音がしていた。ヤンニクは逃げた。脚は10歩分は進んだが、胴体は5歩分しか進まなかった」
「腕をやられた。肩のところから引きちぎられたんだ。信じられないくらい手際がよかった。俺は声を上げたけど、気にも留めてなかったな。顔を近づけてきて、熱い息がかかった。そして言ったんだ。『行けよ。広めろ。この地は狩り場ではない』ってな」
もう一度ジョッキを持ち上げて、少し陽気に言った。「だから、こうして広めてるってわけさ」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_70_Ursa_LocHeroName" "ウルサ"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_71_SpiritBreaker_LocFieldNotes" "カラボールのオアシスの東で、商隊が壊滅した跡を見つけた。私は深く刻まれた蹄の跡をたどった。――バラトルム、スピリットブレイカーへと続いているのではないか。そんな、半ば諦めのような期待を抱く。人間の足跡は、そこから四方八方へと散っていた。
商隊は高価な宝を運んでいたらしい。宝石、装飾品、高級な絨毯…。だが、それらは瓦礫に紛れて散らばっていた。命を守るために置いて逃げたのだろう。
バラトルムは蹄についた土を落としていた。私はできるかぎり慎重に近づいた。
「主の命によるものだ」、彼は答えた。なぜ商人隊を滅ぼしたのかを尋ねた私に彼は言った。「主が命ずるならば、なされるのだ」
「主とは誰か」と問うと、彼は空を見上げた。長い沈黙が続く。彼自身がその答えを知っているのかどうかはわからなかった。ただ一つ確かなのは――たとえその答えを知っていたとしても、私に教えるつもりはないということだった。
「私はただの使いにすぎない」彼は誇らしげに言った。「破壊そのものに喜びはない。主の御業に仕えるときのみだ」と。
すると彼の目が暗くなった。「主は言われた――おまえは生かしておけ、と」
ありがたい知らせだ。思わず笑みがこぼれる。
「ただし、今すぐここを立ち去るならば、だ」
別れを惜しむことなく、私は駆け出した。もし彼が追ってきたら逃げ切れるはずはない。走るという行為は、彼に無用な手間をかけさせないためのささやかな礼儀でもあった。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_71_SpiritBreaker_LocHeroName" "スピリットブレイカー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_72_Gyrocopter_LocFieldNotes" "キーン族ほど「爆発」に情熱を注ぐ種族はない。ものを吹き飛ばすことは、彼らにとって家業のようなものだ。グレネードは、世代から世代へと愛情を込めて投げられる。新しい爆発法則を発明することこそが、キーン族の誇りなのである。
そんな中、オーレルはさらに高みを目指していた。飛び方を学びたかったのだ。歯の間で風を味わい、耳でプロペラの轟音を聞き、手から放たれた爆弾が下の無防備な標的に落ちていく。その感覚を味わいたい。
「みんな、そんなの無理だって言ってたよ」デビル・スウィフトクラッカは言った。「俺たちキーン族は、ちょっとお人好しでね。やればなんでもできると思っている。そんな俺たちが無理だって言うんだから、よっぽどだよ」
ある日のこと。オーレルは忽然と姿を消した。工房は静まりかえり、壁際にはプロペラの羽根が立てかけられ、その隣には、不発の爆弾が悲しくも山積みになっていた。酒場の炉端では、こんなことが言われるようになった。恥ずかしさのあまり、自ら行方をくらましたのだ、と。
翌朝、見たことのない巨大な影が広場の上空を通り過ぎた。誰も逃げようとすらしない。すると、空から何かが落ちてきた。もうひとつ、またひとつ。そのあとには、たくさんの \"なにか\" が降ってきた。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_72_Gyrocopter_LocHeroName" "ジャイロコプター"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_73_Alchemist_LocFieldNotes" "ラジル・ダークブリューの研究室は、地震の最中ジャンクヤードに建てられた工房のようであった。鉱石の詰まった木箱はいまにも倒れそうな状態で積まれ、傍らでは銅製の蒸留器がシューシューと音を立てている。瓶が多様な色に輝き、わずかに震えているものもあった。焦げたウイキョウと煮えたトカゲ、そしてどうにも嫌な予感のする匂いが混じっていた。
彼のオーガの相棒――半分は共犯、半分は駄載獣――は、汚れた小さいエプロンを身に着け、好奇心と空腹の入り交じった感情をしていた。小柄なキーン族の男は青く泡立つフラスコを手に、跳ねながら近づいてきた。「いいところに来た! 今ちょっと試しているところなんだ」
止める間もなく液体が注がれ、乾杯が交わされた。調合液の味は鋭く金属的で、マンゴージュースに電撃を与えたような味だった。
次の瞬間、私の声がネズミのような金切り声に変わり、オーガの声は奇妙な裏声となった。ラジルは興奮にして、声にならない声を上げていた。近くにいた犬が吠えている。私たちは目を合わせ、そして甲高い笑い声とともに崩れ落ちた。
「これで、飛べるはずだったんだがな」ラズルは息を切らしながら言った。
私も笑いながら、ふとラズルの薬棚に目をやった。虹色に輝く瓶、誘うように光る瓶…。その奥には、肉眼ではほとんど見えない場所に別の瓶があった。骸骨の形をした紋章がラベルに描かれた瓶。静かに泡を立てる瓶。黒々とした虚空の中にひとつだけ淡い星が浮かぶ瓶。そして、まるでこちらを見つめ返すような瓶。
胃がキリキリと痛む。一見、ラジルの実験に危険性はなく、むしろ愉快な遊びのようにも思える。だが、「立入禁止」と書かれたあの部屋に隠された棚をのぞいたなら、一体どんな薬品が眠っているのだろうか――私は、どうしてもそう考えずにはいられなかった。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_73_Alchemist_LocHeroName" "アルケミスト"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_74_Invoker_LocFieldNotes" "インヴォーカーが話すたび、周辺に浮かぶ魔法のオーブが、まるで話の抑揚に合わせるように光り、暗くなり、色を変えていた。10時間ほど話を聞いたころ、俺はゆっくりとじわじわとした恐怖とともに悟った。こいつ、ひょっとして死ぬまでずっと話し続けるつもりなのでは…。
この男は自身の武勇伝を語った。まあ、無理もない。ほぼ不死とも言える魔導師の人生を語るには、それなりに時間がかかるだろう。だが、こいつの記憶力は伝説級だ。自身の長く実に波乱に満ちた人生で起きた全ての出来事を詳細に覚えているらしい。
もちろん、こいつの言うところの「冒険」や「楽しい」は、本人によるもの。聞かされる側としては、もっと適切な表現がある――「苦行」だ。手が痛みだした。インヴォーカーがそれに気づき、「羽ペンが自動でものを書けるようになる呪文を唱えてやろうか」と聞いてきた。
プロとしての矜持がある。俺はやんわりと断った。だが、2日目の朝日が昇るころには、その判断を後悔することになる。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_74_Invoker_LocHeroName" "インヴォーカー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_74_Invoker_LocPersonaFieldNotes" "「ここまでやるつもりはなかった」カールは煙を上げる追いはぎの死体を見下ろして泣いていた。あれほど豪語していたのに、これまでひとっこ一人殺したことはなかったらしい。涙をぬぐいながら、カールが言う。「あんな風に飛び出してくる」なんて不公平だ、と。
数週間前にこの時代に“到着”して以来、カールはほとんどの時間をウルティミール学術院での研究に費やしていた。秘術の研究のため、そしてこの若く才能ある並外れた魔術師を他の魔術師たちに研究させるためだ。
最強の魔術師でさえ、離れた場所に魔術で移動するのは難しい。長い年月を越えて未来へ移動するなどなおさらだ。しかし、威勢のよい声の大きなこの少年は、独力でそれをやってのけた。
学術院の古老たちには、カールの呪文を再現することができなかった。一方、この時代のインヴォーカーは、彼が自分の名を騙る奇妙な詐欺師以外の何物でもない、と信じなかった。不満を感じたカールは外へ出ることを要求した。「今回は証明してやるよ」と誓って。
他の時代に何が起きたのか、カールは決して口にしなかった。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_75_Silencer_LocFieldNotes" "ハザダルのテント街じゃ、砂との戦いは負け戦だ。オレは、四角いクッションの砂を払えるだけ払ってみたが、結局あきらめた。
今日の相手はアバガード、かつて栄えた戦闘魔導師の学派エオル・ドライアスで今でも生き残っている唯一の教師だ。彼に会いに来た。目的は、彼らが生んだ偉大なる戦闘魔導師、ノートロムの話を聞くためだ。
「確かにエオル・ドライアスは最も偉大な戦闘魔導師を生み出した」アバガードは薄笑いを浮かべた。「だが、教育して育てたわけではない」軽く咳払いをする。「創り上げたんだ、200年かけて。代々の血統を掛け合わせてな。ノートロムは\"生まれた\"のではない。\"造られた\"んだ」
ノートロムは生徒としては従順だった。だが、現実は理想通りとはいかない。エオル・ドライアスで7年経っても、基礎の魔法試験すら合格できなかったという。何百年もかけて造り上げた魔導師が自分の命を守る呪文すら使えなかったのだ。
「血統は完璧だったと信じていた。だが、兆候はあった。我々は…失敗したんだ」アパガードはため息をつく。「坩堝の日まではそう思っていたんだ」
ヤツはただ遅咲きなだけだったんだ。学生たちは、自身の腕を競う試験で向かい合った。ノートロムに期待している者は一人もいなかった。だが、未来の魔導師たちが詠唱しはじめると、ノートロムは集中していた。次の瞬間、彼は最高の魔導師となった。それだけではない。実技場で魔法を使えたのは彼だけだった。他の者は誰一人呪文を唱えられなくなっていた。もちろん、命を守る魔法でさえも。
「結果的に、卒業できたってことだ」アパガードはまたため息をついた。
オレはうなずきながら、砂入りのミルクをすすった。口が砂だらけになった。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_75_Silencer_LocHeroName" "サイレンサー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_76_OutworldDestroyer_LocFieldNotes" "アウトワールド・デストロイヤーと遭遇してもなお生き延びた者はいないだろうか。私は数週間聞き回った。ようやく、とある行商人が口を開いた。兄が生き長らえたのだという。
「兄のトレイモントは、好奇心の塊でね」行商人は言った。「いつも新たな冒険を求めていた。旅の途中で \"デストロイヤー\" が破壊している町を見つけたんだ」
詳しく知りたいなら、兄の居場所を教えてくれるという。
立ち去る前、行商人は寂しそうにこう付け加えた。「上手くいくといいな…」
トレイモントが暮らしているのは、くすんだ色の無機質な収容所だった。私が挨拶をすると、彼は刈り上げた頭をこちらに向けて私を見た。いや、私の背後を見ていた。
「来るぞ…」彼がかすれた小声で言った。「オレたちみんなをとりに来るぞ」
学者の中には、アウトワールド・デストロイヤーこそが太陽の彼方、深淵の縁から来た存在だと唱える者がいた。彼は遠く離れた場所を巡回し、何かを待っていた。では、いったい何を? ある者は、世界を飲み込むほどの悪意の前触れだと言う。一方で、その可能性について深く考えようとしない、いや、そもそも全く考えない者もいた。一方、私の目の前にいる痩せこけて、目を見開いたこの男には、彼なりの理屈があるようだった。
「逃げられない。遅い。もう来ているんだ」トレイモントはしわがれた声で言った。
これ以上は無理だ、私は悟った。私が部屋を出ようとすると、トレイモントは笑いはじめた。次第に常軌を逸した不気味な笑い声に変わっていった。「もう来ているんだ!」笑いながら何度も何度も叫び続けていた。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_76_OutworldDestroyer_LocHeroName" "アウトワールド・デストロイヤー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_77_Lycan_LocFieldNotes" "西の森の奥深く、焚き火の明かりが次第に小さくなる頃、その明かりが木々の向こうを照らした。光る一対の目だ。やがて、もう一対、さらにもう一対と増え、ついには小さな星座となった。
持っていた短剣に手を伸ばす。でも、その最初のジャイアントウルフが、まるで生きた影のように現れると、私は恐怖のあまり剣を落としていた。ウルフはためらうことなくこちらに近づいてくるが、唸り声や威嚇する様子はない。これは…好奇心だろうか?鼻先が触れるほど近くに寄られ、私は声を漏らしながら顔をそらす。永遠にも思える時が過ぎ、ようやく目を開けると、そこには牙を持つ男が立っていた。他のウルフたちの姿はなかった。
「この森は…おまえのような者が来る場所ではない。危険だ」
彼は自らをアンブリー家のベインハロウと名乗った。その名前には聞き覚えがあった。狂気の王に反旗を翻した家系の名。彼の一族は滅び、生き残ったのは彼一人。そして、王の魔導師によって狼男の呪いを負わされたはず。言い伝えとして聞いたことがあった。けれど、どうしても聞きたいことがあった。
「変化するとき…痛みはないのか?」意を決して尋ねた。
「おまえには決してわからない」彼は沈んだ声で続けた。「痛むのだ、毎度な」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_77_Lycan_LocHeroName" "ライカン"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_78_Brewmaster_LocFieldNotes" "ツタに覆われた滅びの都市のアーチの下、私はブリューマスター、マンギクスを見つけた。彼は私に1つだけ条件を出した。「飲みながらなら話してやる」と。
「オヨ族はよお」彼は、ジョッキをテーブルに置いた。「酒を飲んで霊たちと語るんだよ」そのエールビールは彼自身のようだ。琥珀色で少し香ばしく危険なほど強い。「オレはよお、半分セレスティアルの身だ。あちらの世界を少しのぞける。役に立つよ」
数口飲んでいるうちに、私も別の世界が見えてきた。全く役には立たなかったが。
2杯目を飲む頃には、彼(いや、彼ら、か?あ?2人だったか)が私に、いかに師匠を拳闘兼飲み比べで負かすかを語っていた。「簡単じゃねえぞ」とマンギクスたち(マンギクシだったか?)は言う。「何度も倒れたからな」私はうなずいた。おそらく、うなずきすぎた。
4杯目あたりで、マンギクスは物質界と霊界を1つにする完璧な思想を探しているんだと言い出した。私は、それはきっとテーブルの下にあると返した。
5杯目を飲んだ頃には、マンギはああ、わたしの肩を、、叩いていた。「よくやった」と彼が言ったのを聞いた。それを最後にテーーーブルがぐるりと回転し、よるのやみへとくずれおちていった…"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_78_Brewmaster_LocHeroName" "ブリューマスター"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_79_ShadowDemon_LocFieldNotes" "シャドウデーモンについて、彼を崇める教団から直接情報を聞き出そうとはさすがに思わなかった。けれど、前にその教団から逃げ出した1人の女性の噂を耳にした。彼女を見つけるまで数週間かかった。
ウンブラルミスト教団から抜けた者なんて、聞いたことがない。だから、最初は半信半疑だった。その彼女もまた私を疑っていた。何度も接触を試みる私のしつこさ、その意図も。彼女は逃げ続けていたんだ。教団を抜けた日からずっと。数週間暗号でのやりとりを重ね、秘密の受け渡しを繰り返し、ようやく約束の地、誰にも言えない遠方の小屋で会うことができた。
私がそこにたどり着くと、彼女の手の中でダガーが光った。彼女の目の奥も光っていた。それは、野生の獣のような追い詰められた目だった。
「私の両親は、私をいけにえに差し出すって言って、逃げたんだ」彼女はふりしぼるように言った。物音ひとつに怯えて身をすくんでいた。「見たんだ。あの毒がどうやっていけにえを蝕んで…苦しめて…殺していくか」
彼女の話では、教団のいけにえは、終末の日をもたらすためのものなのだという。この世界だけでなく、全世界に終末をもたらす。それは彼らの神の至高の願いなのだ。
外でなにかの音がした。彼女は飛び上がり、ダガーを喉に当てた。私が止めるより早く、どろっとした血が腕を伝い、肘まで流れ落ちていった。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_79_ShadowDemon_LocHeroName" "シャドウデーモン"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_7_Earthshaker_LocFieldNotes" "地震で削られた谷で、彼を発見した。空気は砕けた岩の粉でざらつき、新しい隆起の匂いが漂っていた。ニシャイ山脈の峰々が頭上にそびえ、時に小さな雪崩をくしゃみのように吐き出していた。彼は自らをライゴール・ストーンフーフと名乗ったが、人は彼をアースシェイカーと呼んだ。
彼はほとんど反応を示さなかった。まあ、彼は文字通り「石」でできているのだから無理はない。そこで、私は彼の友人に話を聞くことにした。
「俺たちは命令に従うだけだ」ゴーレムは言った。「あいつは自分で自分を造ったんだ。俺たちとは違う」
石像もうなずいた。「俺たちは見張りをする。ライゴールは自由に歩く」
ある年、山脈が暴れた。雪崩が轟き、大地が裂け、地図が紙くずと化した。塵が晴れたとき、アースシェイカーが現れた。軽く山をあしらい、肩に乗った巨石を払いながら。噂によると、彼は長い間岩盤の胎の中で、静かに自らの身体を積み上げていたという。
地質時代にも等しい長い沈黙のあと、彼はようやく私に目を向けた。「我は石であり、骨である」彼は言った。「我は生き、血を流し、やがて死ぬ。塵と還るとき、それは「故郷」に帰ることを意味する」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_7_Earthshaker_LocHeroName" "アースシェイカー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_80_LoneDruid_LocFieldNotes" "ある日、苔むした尾根で観察記録をつけていた。その次の瞬間、私はねじれた松の陰に身を伏せた。心臓が激しく動いている。野生の熊に出くわした場合、茶色の熊なら身を伏せろ、黒色の熊なら応戦しろと言われる。では、熊の精霊の場合はどうすればいい?その類いの話は存在しない。ならば、私が最初に提唱しよう。それは「恐れろ」だ。
老人シィラはのんびりと現れた。熊以外の存在と接するのはひさしぶりのようだったが、歓迎されている感はあった。彼の熊は近くの小川にゆっくりと歩いていくと、一匹の魚をくわえて戻ってきた。シィラは、それを生のまま食べながら、私と語った。彼の言葉を記録しながら、熊がこちらを観察していることは気づかないようにしながらやり過ごした。
彼は、とうの昔に滅びた熊一族のこと、そして彼の使命「聖なる種を守り、この世界が荒廃しきったときのみ、それを植える」について語った。私はなんとか彼を説得してその種を見せてもらった。それはただの種に見えた。
彼は長いあいだ、待ち続けている。望むならば、これからも永劫待ち続けていてほしい。やがて、食事を終えると、別れの言葉を告げ、森の奥へと消える彼を見送りながら私はふと考えた。彼は、森の中でいったい何をしているのだろうか。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_80_LoneDruid_LocHeroName" "ローンドルイド"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_81_ChaosKnight_LocFieldNotes" "オレは走っている。
漆黒の馬に乗った騎兵隊が、殺戮の原野を駆けてオレを追ってくる。逃げ切れねえのはわかってる。いや、もし逃げられたとしても、結局はムダだったってわけだ。騎兵たちがスッと姿を消したかと思えば、もう一度オレの前に姿を現すんだ。先頭の馬はオレが突っ込んだ瞬間に消えた。その勢いのまま、オレは後ろの馬に真正面からぶつかった。
息が切れ、少し頭がくらくらするが、どうにか立ち上がる。騎士と馬の炎のような目が、かろうじて辺りをぼんやりと照らしている。
「貴様、光の者ではないな」騎士が唸るように言う。オレは怒ってやるべきか迷った。もしそうだとしても、顔には出さないが。
「貴様の凡俗なやり方は、我々にとって無意味だ。取るにたらぬ存在よ」
おいおい、おだやかじゃねえな。
「光は我が刃の下に滅びよう。信奉者どもは塵へと還るのだ」
そう言い残すと、他の騎兵たちは消え去った。カオスナイトの馬が踵を返して闇の中へと駆け去っていく。オレはただ、暗闇の中に一人取り残された。まあ、やつが戻ってこねえってなら、暗闇も悪くねえさ。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_81_ChaosKnight_LocHeroName" "カオスナイト"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_82_Meepo_LocFieldNotes" "拾い集めたガラクタでできた小屋に俺たちが入ると、ミーポが「ようこそ、ようこそ! 座ってくれよ!」と愉快そうに言った。その手の先には、どこかで滅んだ文明から持ってきたような腐りかけの王座があった。
「いや、遠慮しておく。立っているほうがマシだ」そう言って顔をしかめると、ミーポはやけにうれしそうにしていた。
ヤツは俺の肩越しに何かを見ている。その視線を追うと、そこには別のミーポがひび割れた腰掛けの上に座り、笑っていた。
「勝手にしな」ミーポが2体同時に言った。後からきたミーポは大げさに身体を伸ばし、あくびをしてから、腕を頭の後ろに回した。それが陽動だと気づいて俺が振り向くと、3体目のミーポが俺の荷袋を漁り、使えそうなもんを探してやがった。手を伸ばしてヤツを捕まえようとした瞬間、ポン!という音と共にヤツは消えていた。旅の帰り道のために取っておいた、葉っぱで包んだ食料と一緒に。
俺がふりかえると、さらに2体増えていた。5体のミーポ(ミーポーズか?)があちこちから俺を取り囲んで言う。「これ、ちょっと借りてもいいか?」
「ああ、別にいい」と返事をした。そう答えるのが一番手っ取り早く「増殖」を止められそうだったからな。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_82_Meepo_LocHeroName" "ミーポ"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_83_Treant_LocFieldNotes" "オーグリー谷を越えた山中を一週間歩いた。私はもうトレントの守護者について知る者…というより人の姿そのものを見つける望みを失いかけていた。見渡す限り、木しかない。木、そして木。山の中とはいえこんなにも多いのか。サラサラと音が鳴り続いている。
私は大きく露出した根の上に腰を落とした。すると、頭上から低い声が響いた。
「人の足の上に座っておるぞ」
私は慌てて立ち上がった。慌てふためき謝った後で自己紹介をし、守護者について尋ねてみた。
「我らはルーフトレルンと呼んでいる」トレントは答えた。「彼は今ここにはいない。おまえが我が世界に学びに来たように、彼もまたお前たちの世界を学ぶ旅に出ている。だが、我らの秘密はおまえたちの知るところではない」
私はただ、ルーフトレルンについて知りたいだけですと言うと、わずかに力を抜いたように見えた(木にできる範囲で、だが)。
「彼は、我らの中でも何をするにも素早くて一番の冒険家だった」彼が低い声で答えた。「彼は、森に降りかかるであろうあらゆる危機を払いのけるだろう」
「いつの日か、戻ってくるやもしれぬ。戻らぬやもしれぬ。だが、おまえは…」
私は身を乗り出し、羽ペンを構えた。
「ここを立ち去れ。二度と戻るでない」…そうか。
帰り道の夜は冷え冷えとしていた。焚き火は起こさない方がいい。私はそう判断した。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_83_Treant_LocHeroName" "トレントの守護者"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_84_OgreMagi_LocFieldNotes" "カンドネスの博打場が、アグロン・ストーンブレイクのサイコロの番を前に静まり返った。「もう一度、ファイブ・ファイブだ!」無気力なテーブルマスターがそう告げると、場内は割れんばかりの歓声に包まれた。
幸運の女神はオーガ族に加護を与えたと言われる。この加護がなければ、オーガは種として絶滅していただろう。だが、この賭博場を仕切っているのは、運なんて信用しない連中だ。「幸運のオーガ」でも勝てないくらい、サイコロの目を細工した…はずだった。だが、それは10回サイコロを振る前の話だ。10回サイコロを振って、10回ともファイブ・ファイブだったのである。
アグロンは普通のオーガとは違う。頭が2つある分、運も2倍だ。脳みそも2倍のはずだが…まあ、あったかい料理は任せたくない程度の人間と同じくらいの賢さってところだ。
賭博場を出たアグロンを追いかけると、ヤツはマウントのフロックハートの様子を見ていた。
アグロンの片方の頭によると、母親の名前は、「オーガ」。もう片方の頭によると、父親の名前は、「オーガ・ジ・オーガ」なのだとか。2人で腐肉農場を営み、飢え死に寸前の頃にアグロンが生まれた。その途端、運が回ってきたらしい。
今じゃアグロンは世界を旅しながら、自分の幸運を友と呼べる誰かに分け与えている。では、友ではない人には…?
「そうだな、オレが呼んだ「あんまり良くない運」をやるんだ」片方の頭がそう言った。少し考えて、もう片方の頭が付け加えた。「つまり、悪運をさ」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_84_OgreMagi_LocHeroName" "オーガ・マギ"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_85_Undying_LocFieldNotes" "濃い黒煙に導かれ、私は流血が丘の荒野にいた。ぼろを着た少年が半分かじられた死体を火葬用の薪の上に投げていた。すでに多くの死体が積み重なっている。この光景よりも悪臭の方がひどい。
少年は用心するような目でこちらを見た。いきなりの襲撃を受けたばかりの遊牧民の目だ。やがて、彼は死体を積み上げる手を止めて休みたかったのか、こちらに向かってきた。
「あれは……いきなりやってきた。真夜中だった」ほとんど囁くような声だ。「低い、うなるような音が聞こえた。不気味な音。僕は逃げたんだ」
燃やしている死体は、と少年は続けた。あの場にとどまって戦った者たちの死体だそうだ。
「あいつは手をゆーっくりと上げた。そしたら地面から石が突き出して、ゾンビみたいなやつがそこから出てきたんだよ。腹を空かせたゾンビだ。僕たちを食べたかったんだ」
以前にも、アンダイイングが村や野営を破壊しつくすらしいというひそひそ話を聞いたことがある。問題は、実態を語ってくれる生き残りを見つけるのが難しいということだ。
「家族を火葬するんだ」少年は嗚咽を止めようとしたが、できなかった。「あの夜見たやつらみたいに、土の下から起き上がってほしくないから」 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_85_Undying_LocHeroName" "アンダイイング"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_86_Rubick_LocFieldNotes" "「街付きのマエスターは大魔術師がなれる最も名誉ある職の一つじゃよ」イルウィン・カラドリアンが得意げに言った。彼の指さす先には大きな部屋。革装の大冊、金がはめこまれたオーブ、クリスタル製のビーカー、きらびやかな霊薬などが並んだ部屋だ。
カラドリアンがストーンホールの街付き魔術師になったのは、長年の研究と忍耐によるものだ、と誰もが口をそろえる。より重要なのは、彼が「天変地異」と呼ばれる魔法陣の中で生き残ったことだ。それまで、魔術師ギルドに挑戦しようとする者はいなかった。愚かなことだと皆知っていたからだ。しかし、ルビックは大胆にもそれを成し、あやうく魔術の世界を終わらせてしまうところだった。
「ルビックが仕掛けてきたんじゃ」イルウィンは頭を振る。「わしら全員に挑んできた。それでも、同じ目標に向かって協力する魔術師の軍団ほど強いものはなかろう」
少なくとも、理論上はそうだ。魔術師たちは血を求めて出立し、結局は自分たちだけが血を流す羽目になった。彼らが放つあらゆる魔法の対抗策をルビックは持っていた。たいていそれは、他の魔術師が使った呪文だった。
「何年もかけて習得した呪文を、やつはすぐに再現してみせた。児戯のごとくな」イルウィンはぶつぶつとつぶやく。「何人かは這って逃げおおせた。じゃがそれは、やつがわしらを殺すのに飽きたからじゃ」
「飽きたままでいてくれればよいが」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_86_Rubick_LocHeroName" "ルビック"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_87_Disruptor_LocFieldNotes" "ドルード高地のわびしい平原。赤い砂が足元でザクザクと音を立て、空から聞こえる雷鳴と調和する。
私と共に歩く大トカゲの上に、ディスラプターが座している。オグロディ族にしては小柄だが、大きな枝木を持っている。いや、正確に言うなら太い棒だ。電気をまとうこの棒で、ディスラプターは電気そのものを操る。私はあたりを巡視する彼について、走っていた。
「我らは何世代にもわたって嵐を操る方法を研究してきた」放浪の民、オグロディ族について彼はそう語る。故郷を追い出されて以降、荒野をさまよっている人々だ。このような土地で暮らさなければならないとき、人は天候のことをより気に掛ける」
「天候が起こしうる危険を我々は知っている。捧げるべき畏敬をもって、天候と付き合う。そうすることで、天候を操ることが許されるのだ」
突風が砂の壁を散らして私の顔に吹き付けた。だが、風はディスラプターを避けたように見える。
「今のは私のせいではない」彼は静かに笑う。「天候はいたずらをすることもある。だが案ずるな。怒っているときは、それと分かるから」
もう一度風が吹いて、私の荷物から数枚の紙が舞う。私はそれを慌ててかき集める。巡視中のディスラプターは、私を待ってはくれないらしい。代わりに助言を残してくれた。「隠れられる場所を見つけた方がいい。嵐が来るぞ」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_87_Disruptor_LocHeroName" "ディスラプター"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_88_NyxAssassin_LocFieldNotes" "「あのトンネルに長く留まるな」荷運び屋の言葉に導かれて、私はそこにいた。もちろん、長く留まるために。ランプの明かりに石英の層や湿った石、きらきらとした樹脂質の分泌物が照らし出される。私の呼吸は荒くなっていた。
初めに甲殻の擦れる音が聞こえた。次に、自分のものではない声がする。「止まれ」脳に潜り込んできたその声の力強さに、私はノートを取り落とす。
彼は闇から現れた。8本の脚のうち、上の1対はダガーのような鉤状だ。顎は私に噛みつかんばかりに開かれていた。流線型の甲殻は意図的に形作られたように見えた。すなわち、気づかれないように近づき、素早く殺し、音もなく立ち去るためだ。
2つの目が炎を宿して、こちらを見ていた。まるで、わき腹を刺されたような気分だ。私は獲物として品定めされているのだと分かった。柔らかい薄紅色の餌食。頭の中の声が大きくなる。私の物語を覚えておくがいい、物書きよ。女神たる女王が地を這うこのうじ虫を選んだ。このうじ虫だけが儀式を生き延びた。作り変えられた。彼女の鋭い刃。彼女の意志が肉体に宿る。ニクス。
彼が姿を消すまで、私は瞬きもできなかった。後に残ったのは、鼻を衝く臭いと意志の残響だけ。今、急いでこれを書き留めている。それは果たして私の言葉なのか、彼の言葉なのか… あるいは彼女の言葉なのだろうか。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_88_NyxAssassin_LocHeroName" "ニクス・アサシン"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_89_NagaSiren_LocFieldNotes" "何もかもが干上がっているシンティラント荒野に海賊がいるというのも妙な話だけれど、何人もの情報提供者から、この荒野にグリムストックがいると聞いていた。冷酷な海賊船長だ。空のジョッキの重みに軋むテーブルで、彼は腹の底から笑い声を上げていた。カルダン郊外にあるみすぼらしい酒場、ラクダの頭亭に彼はいた。だが、彼女のことを尋ねると、彼はとたんに真顔になった。
「ありゃ、レッド・カットラス号の船倉で見張りをしてた時だ。耳をつんざくような泣き声が聞こえてよぉ」彼は語り始めた。「固まっちまった。恐怖というか、それ以上のモンだったな。それからあいつの姿を見た」
「あの女はズルズル這って、オレのそばを通り過ぎた。あの時オレを見た目。後にも先にもない、憎しみの目だったよ。オレたちが略奪したモンを調べてた。金ぴかの椀や高坏、杯なんかを全部な」
「探し物は見つからなかったんだろう。静かに海に戻っていった」グリムストックはそう言って身震いした。
船の乗組員も、彼と同じく固まっていたらしい。彼らがどうなったか、船長は知らない。
「オレに言えるのはよぉ、もう海には近寄らねえってことだけだ」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_89_NagaSiren_LocHeroName" "ナーガ・サイレン"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_8_Juggernaut_LocFieldNotes" "カントゥサ丘陵からほど近い戦場には死体が散乱している。死体にくっついていたはずの頭も散らばっている。死体の山の中に、ユルネロが立っていた。
彼は跳び上がり、大剣をさらに別の敵に突き刺す。 敵の体を切り裂くときは、彼の脚と腕が一体となり、あるいは反対の方向へ、巧みに動く。まるで水の動きを見ているようだ。人間の体を真っ二つにできる水の動き。
やがて、最後の敵が倒れた(何人かは逃げ、ジャガーノートはそれを嫌悪の目で見ていた)。彼の目が仮面の奥で輝き、自ら作り上げた大惨事の跡を見据える。
「今日はいい日だ」歌うような調子の声。「我にとってもそうだが、栄誉とともに戦死できたこの者らにとっても」
仮面の島から追放されてしまったことや、その後に島が滅ぼされて種族で最後の一人となったことを後悔しているかと尋ねる。気分を害さないようにと祈りながら。幸いにも、彼は腹を立てたりはしなかった。
「後悔している暇などない」言い聞かせるような声。「勝たねばならない戦いがあるからだ」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_8_Juggernaut_LocHeroName" "ジャガーノート"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_90_KeeperoftheLight_LocFieldNotes" "夜が明ける頃、彼を見つけた。パチパチと爆ぜる炎の前にしゃがみ、なんとかして湯を沸かそうとしていた。よくいる放浪者のように見えた。弱々しく、上着を着込み、ぶつぶつ言っていたからだ。彼の連れている馬が不安そうにいなないた。
「老いぼれエザロルにだまされるな」罠師にそう警告を受けた。「よぼよぼのじいさんみたいなナリをしてる。だが、星のない夜に道に迷っていたとき、あいつに会った。その時、ノーススターがポンっとランタンみたいにまぶしく光ったんだ」
想像通り、その老人は一見無害だった。岩に立てかけられた杖は、ただの棒ではないようなかすかな光を放っていた。彼は「原初の光」についてつぶやき、原初の光は「早かった」と言った。それから彼はクスクスと笑った。まるで、宇宙と内輪のジョークで盛り上がっているようだった。
「ああ、どうも」近づく私に彼が言う。そして、昇る太陽を指した。「美しいだろう? 自分で言うのもなんだが、悪くない」馬が鼻を鳴らした。
やかんがピーっと音を立てる。エザロルは震える手で茶を注いだ。炎がめらめらと燃えている。あれはただの朝日だと自分に言い聞かせながら、私は茶をすすった。だが同時に、こうも思っていた。隣にいるのはただの老人ではない。朝という概念そのものが新しかった時代を知っている老人だ。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_90_KeeperoftheLight_LocHeroName" "キーパー・オブ・ライト"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_91_Io_LocFieldNotes" "見渡す限りの平原は染み一つない白で、青空の下、目が痛いほどだった。空気には静電気が満ちており、塩を舐めたときのようにピリピリした。イオはどこにでもいるはずだが、噂によるとここで会えるらしい。やわらかく、一定のリズムで空気が震える。心臓の鼓動のようだ。そのとき、ウィスプのイオが姿を現した。
イオの正体がなんであれ、それは時間そのものよりも古くから存在している。言語よりも古いことは言うまでもない。イオと会ったことがある者は一様に、イオは協調と調和を通してのみ「話す」と言う。「歌うこともあります」と、あるノマドが教えてくれた。「長調の場合は好かれている。不協和音のときは…お逃げなさい」
ばかげていると思いながらも、どこから来たのか尋ねた。ゆらめく長三度の和音が全方位にさざ波のように広がる。いたるところに在ると示しているのだろうか? 一部の者と結びつき、一部の者とはそうしない理由を尋ねた。ずれた短七度の和音がちらちらと聞こえる。肩をすくめたような雰囲気だ。
やがて、イオはくるくると体を回転させて空へ向かう。光を振りまいて。私は自分のノートを見つめた。宇宙的存在を理解する一歩手前だったのだろうか。それとも自分自身と話していただけだったのだろうか。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_91_Io_LocHeroName" "イオ"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_92_Visage_LocFieldNotes" "ハウプシュタットのホスピスで、私はラフという名のごろつきに出会った。地獄に行って戻ってきたかのような風貌だと思っていたら、それは事実だったらしい。しかも7度も行ったという。
彼が死んだのは一度きりだ。半分酔った状態でズボンを引き上げていたとき、娼館のバルコニーから落ちたのだ。彼は気づくと狭き迷宮にいた。曲がりくねった通路がもつれあうこの迷宮で、魂が振り分けられる。
「ただな、オレは抜け穴を見つけた」ラフはこちらに身を寄せ、囁く。「場所は言わねえよ。ふさがれちまうからな」
狭き迷宮で脱走があるたび、ヴィサージュという名のガーゴイルがソウルハンターとして放たれる。脱走者を連れ戻すためだ。
「石の翼を羽ばたかせてよぉ。爪はたがねみたいだぜ」ラフが言う。実際に羽音を聞き、片方をもいだ者の威厳に満ちた声だ。ラフは考えうる限りの場所を試したという。海(「石は沈むだろ?」)、ジャングル(「翼がひっかかる」)、さらには教会(「屋根にとまってくれるかと」)。しかし、どこもうまくいかなかった。
「今はここにいるってわけだ」ラフは、衰弱している(一部はもう亡くなっている)ホスピスの同室者たちを指す。「半分死んだやつらに紛れていれば、あいつも気づかないだろ?」
どうして逃げ続けるのかと聞くと、ラフは肩をすくめた。「あそこにあるものを見たら、あんただって逃げ出すだろうよ。デカい石の像に連れ戻されるとしてもな」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_92_Visage_LocHeroName" "ヴィサージュ"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_93_Slark_LocFieldNotes" "「スラークがしでかしたことについては、ほとんど知られてないんです」スリザリーンガードが言った。彼は匿名を条件に話をしてくれた。「知ってるやつは、口に出したくないほどおぞましいと言ってる」
私たちがいるのはシェイドショア旧跡にある古い宿屋の跡地だ。スリザリーンガードは一般的に、勇敢で恐れられているものだが、目の前の彼はわずかな衣擦れの音にさえ、びくびくとしている。
「あいつは俺たちとは違う」彼は身震いする。「俺たちは力があるが、あいつは邪悪です。邪悪で狡猾で」
何年もの間、スラークの悪意は押さえつけられていた。彼はダークリーフに収監されていた。海底にある難攻不落の監獄。希望は失われ、脱獄する者もいない。その記録をスラークが変えた。彼は以前にも脱獄を試みたが、かろうじてそれは阻止された。次に脱獄を試みたときには、スラークは半生を監獄で過ごしていた。次のチャンスで彼は脱獄に成功する。他の収監者たちと共にダークリーフを出たのだ。
「あいつらにまともな計画があったとは思いません」ガードが言う。「スラークには計画があった。他の脱獄者をおとりにしたんでしょう。彼らが失敗すると分かっていたんだ」ガードは少し考え込む。「失敗したのはスラークが原因かも」
「あの悪賢いエラ野郎がなんの罪でここに入れられたかは知らないんです。でも、もしも監獄に入れられて脱獄の機会があるなら」ガードは続ける。「俺はあいつについていきますよ」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_93_Slark_LocHeroName" "スラーク"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_94_Medusa_LocFieldNotes" "ショルカーストの町の広場は立像で埋め尽くされている。過去の栄光を示すものだ。しかし、近寄ってみるとその像は過ぎ去った日々の偉人たちを称えるものではないと分かる。それはパニックになった町の人たちの像だ。
ある旅劇団が町にやってきて、伝説のゴルゴンを題材にしたパントマイムを披露した。たいていのパントマイムがそうであるように、その見世物もばかばかしい、大げさなものだった。ところがゴルゴンのメデューサは物笑いの種になるのをよくは思わなかった。
「公演は1週間の予定だった。劇団はその後、別の町へ行く予定だったんだ」新町長に就任したルーサー・ギャリックが言った。「だが、ひどく面白い公演だと、噂が広まった。かなり過激だったよ。ゴルゴンのことをあんな風にジョークにした人たちは今までいなかった。大ヒットだよ」
「ところが、3日目になってメデューサが現れた」
はるか昔、メデューサの姉妹たちはその美しさと不死の体を狙われ、さらわれた。メデューサ自身は、復讐の道具のために見事な容姿を捨てたのだった。彼女はショルカーストに滑り込み、演者たちに石化の視線を投げかけた。それから彼女は舞台を見て大笑いしていた観客の方を向いた。
像は今も町の広場に残されている。重すぎて舞台から下ろせないのだ。それは演劇者たちへの警告でもある。「口コミにまで手が回らぬなら、ゴルゴンを笑い者にするなかれ」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_94_Medusa_LocHeroName" "メデューサ"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_95_TrollWarlord_LocFieldNotes" "トロールたちはトロール・ウォーロードのジャーラカルについて話したがらない。彼らのみすぼらしい野営地で運任せに過ごした数時間、トロールたちは話をするよりも俺を殺したがっているように思えた。ラッキーなことに、ようやく少しは打ち解けられたようだ。
「あいつには我慢ならねえ。オレたちはトロールだ―ずいぶん我慢してるぜ」あるトロールがそう言って意味ありげに頷く。彼の視線の先にいる料理担当のトロールは、腐臭を放つシチューをかき混ぜながら、その鍋に唾を吐く(野営地の仲間に振る舞うものなのに)。
トロールたちは順番にジャーラカルを罵り、やがていよいよ核心に触れる。
「あいつはワシのイトコがモノにした戦利品を横からかっさらった。戦闘には手も出さなかったのに」たくましい体つきのトロールが唾を吐く。「だから野営から締め出されたんだよ」
ジャーラカルは締め出されたことをよく思わなかった。次の日には戻ってきて、彼の斧を振るった。
「あいつのせいでイトコは死んだ」同じトロールが言った。「他にも20人死んだ。ちょうど葬式が終わったところだ」
「またあいつが来たら、この剣が黙ってない。唾も吐きかけてやる」トロールの長はそう言うと、声を潜める。
「あいつに会っても、ワシがそう言ったとは言うなよ」 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_95_TrollWarlord_LocHeroName" "トロール・ウォーロード"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_96_Centaur_LocFieldNotes" "タイトル戦の夜、オメクシーにある酒場はどこも込み合う。今夜も例外ではない。誰もがビッグな戦いについて話している。でも、話題は今夜のタイトル戦じゃない。1年たった今でも、話題に上るのはあの戦いのことだ。
ウォーランナーがオメクシーに戻った日。彼は英雄として凱旋した。
だが、リングの中では過去の栄光など役に立たない。そして、若くハングリーな新人闘士が何よりも求めるのは、凱旋した英雄を倒すことだ。
何か月もの間、賭け屋たちはタラナクスという名の若い新人を有力候補として推していた。タラナクスもその時点では、期待に応えていた。彼の挑戦に対してウォーランナーが鼻を鳴らしてその蹄を踏み鳴らしたとき、脳みそまで筋肉なタラナクスは、ウォーランナーのその仕草を警告とは取らなかった。
タラナクスの葬式には参列者がほとんどいなかった。あの戦いで彼は支持も金も失っていた。
ベルトを奪うために自分に挑戦する者がいるなら、そいつを殺すために喜んでオメクシーに戻る、とウォーランナーは言った。「その時はゆっくり時間をとって、旅が実りあるものになるようにする」と彼は付け加えた。これまでのところ、挑戦しようと考える者がいたとしても、それを口に出した者はいない。 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_96_Centaur_LocHeroName" "ケンタウロス・ウォーランナー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_97_Magnus_LocFieldNotes" "ヴァエール・アンバークロス――代々密猟を生業にしてきた一家の末裔――がわなにかかったウサギを取り外した。私たちはヨエラク山をうろうろしながら、わなを確認する彼の話を聞いている。
「ウサギとかァも悪かァねえ」間延びしたような話し方だ。「だがうれしいのはよォ、マグノセロスだァ」
彼の父親、カエロール・アンバークロスは密猟者として最高の尊敬を集めていた。つまり、密猟の世界の外ではそうではなかった。カエロールがあの巨大な獣をわなにかけようと狙っていたのは、ヴァエールがまだほんの12歳の少年だったときだ。磁気を帯びた獣の角を売るだけでも、家族は何年も食べていけただろう。
しかし、その頃ヨエラク山が噴火した。一帯は何マイルにもわたって溶岩と灰に覆われ、巻き込まれなかったマグノセロスは北へ逃げた。ただ、1頭だけ残ったものがいる。それがマグナスだ。カエロールは槍を構える暇もなく、見えない力によってマグナスの方へ引き寄せられた。ヴァエールは狩り用の隠れ場所から、父親がマグナスの角に貫かれる一部始終を見ていた。
「うれしいだろうなァ」ヴァエールが錆びたわなからキツネを外す。「でもよォ、犠牲の方が大きいや」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_97_Magnus_LocHeroName" "マグナス"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_98_Timbersaw_LocFieldNotes" "西の森で、10本に1本の割合で伐られている木の跡を追った。ふつう、木を伐ったら木材を持ち帰るものだ。なのにここでは伐られた木があたりに散らばっている。まるで戦場に転がる死体のようだ。このことは、俺に2つの事実を告げていた。一、リズラックを見つけた。二、彼の正気に関する噂は単なる噂じゃない。
目的の場所に近づくと、金属を木に打ち付ける音が聞こえてきた。森のさわやかな空気に油のにおいが満ちる。開けた場所にリズラックがいた。機械の装備に身を包み、声高に笑っている。
その姿は実にばかげて見えた。同じだけの憎悪と狂気に飲み込まれているようにも見えた。彼は松の木を伐っていたのではなく、装備から伸びる回転ノコで殴り落としていた。枝が落ちる時、彼はその木の親に対する卑猥な言葉を口にした。
彼が回転ノコを止めたとき、俺は咳払いした。リズラックがこちらを向く。一瞬こちらを凝視した後で、彼は口角を上げて囁いた。「あんたは木か?」 "
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_98_Timbersaw_LocHeroName" "ティンバーソー"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_999_CodexIntro_LocFieldNotes" "はじめに"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_999_CodexIntro_LocNonHeroName" "ヒーローアトラス"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_99_Bristleback_LocFieldNotes" "「俺が言ってんのはよ… みんなに言ってんだが、あれはフェアな戦いじゃなかったってことだ」リグワールがうなる。有無を言わせぬ口調だ。「&%#er に不意打ちされたんだよ」
ここはニョルズハースのパブ(当地の基準からいってもかなり不潔)で、喧嘩屋リグワール――地元ではブリッスルバックとか、あの酔っ払いとか、誰にでも喧嘩を仕掛ける短気な酔っ払いとか呼ばれている――が初めて負けた場所からそう遠くない。戦いの話を持ち出すと、バーテンダーは不安そうに横目でこちらを見た。話を漏れ聞いたらしい、うさんくさい常連客達が上着をひっかけて店からそっと出ていく。
「不意打ちはいけねえ」リグワールはぶつぶつ言うと、振り向いて床に緑色の粘液を吐き捨てた(緑色の粘液の基準からいってもぞっとする)。このパブは何か月も掃除されていないらしい。それでも、緑色の粘液は格段に不潔だ。
もちろん、バーテンダーはブリッスルバックに店を出るよう頼むほど愚かではなかった。彼が怒りを募らせているこんな時はなおさらだ。雑な塗りのしっくいは壁の穴を隠しきれていない。以前、誰かがリグワールを追い出そうとしたときにできた穴だ。幸運にも、喧嘩屋は今回、その決断を自分でした。何杯目かは知らないが、彼はエールのジョッキをカウンターに叩き付け、立ち上がる。
「おう、あいつを探しにいくぞ。報いを受けさせてやらあ」決意を込めた声で言い、リグワールはすたすたと出口に向かう。蝶番を殴って扉を開けると、彼は冷え冷えとした薄闇へ飛び出していった。
私は後を追った。とんでもない戦いになるはずだ。"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_99_Bristleback_LocHeroName" "ブリッスルバック"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_9_Mirana_LocFieldNotes" "銀夜の森の奥深くにある静かな池には、蓮の花が浮かんでいる。部分的に欠けのある2つの大きな月が、低い位置からその花を照らし、銀色に輝かせている。
「美しいでしょう?」突然声がして、私は自分がもの思いにふけっていたことに気づく。
驚いて声のした方へ振り向く。ミラーナ… 月の王女の声だ。私が緊張しているのは、彼女の堂々とした声色のせいではない。彼女の後ろで足音を立てることなく木々の間を歩く、大きな猫のせいだ。
「その花は私が仕える女神、セレメネのものです。見てもよいですが、触れてはいけません」ミラーナが忠告する。その話は知っていたが、彼女の言葉をさえぎるつもりはない。
「ですから、花を摘むつもりなら…」彼女の声がわずかにこだまする。
小柄でたくましい体の若い女性が低木の茂みの陰から現れた。彼女は私の左側にやってくると、不気味な口笛を吹いた。
「ここに来たのは、あなたに話を聞くため」おじぎして答える。
私の仕草に、ミラーナは不服そうだ。
「そのようなことは、セレメネに対してするものです」ミラーナの声はうやうやしい。「この森は女神のもので、私はその番人にすぎません」
私は、彼女が次期太陽王の座を捨て、別の女神に仕えるようになった理由を尋ねた。ばかげた質問だと思われたらしい。
「城や王冠というものは単なる飾りです」ミラーナが猫と人間の伴侶を指す。「私たちはより高い使命に仕えているのです」"
"DOTA_VData_monster_hunter_world_CodexEntriesLocalized_9_Mirana_LocHeroName" "ミラーナ"
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